大きな曲がり角を迎えたグローバリゼーション
──奥野さんはアクティブファンドを運用しているわけですが、これからの日本人の資産形成においてアクティブファンドが果たす役割についてどのようにお考えでしょうか?
奥野 まずファンドには、市場全体を買うインデックスファンドと、企業を選択するアクティブファンドがあるわけですが、何も考えずにインデックスファンドに投資すればよかった時代は、もう終わるでしょう。
──と、いいますと?
奥野 世界経済は、新興国が経済成長を果たし、先進国に仲間入りする過程を原動力に拡大してきました。しかし今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、経済活動は滞り、国同士の断絶が進んでいます。世界中で失業者が生まれ、貧富の差がこれまで以上に広がっている国や地域も増えています。グローバリゼーションはいま、大きな曲がり角を迎えています。
グローバリゼーションの追い風によって、これまで世界経済は拡大してきましたが、それが停滞するとなると、株式市場全体が右肩上がりで成長していくことは考えにくいでしょう。だからこそ、こうした環境下でも「構造的に強靭な企業®」を選別する必要があります。
TOPIX連動型は買うべきではない?
──「インデックスファンドはコストが安いからいい」という意見もあります。
奥野 いくらコストが安くても、中身が悪ければ意味がありません。例えば、TOPIX(東証株価指数)は、東証1部上場企業の全企業が対象です。よほどのことがない限り上場廃止にはなりませんから、新陳代謝が全く進まず、ダメな企業が多すぎます。いくらコストが安くても、TOPIX連動型のインデックスファンドは買うべきではありません。
その点、例えばアメリカのS&P500指数の中身は、米国に上場する5千数百社から選抜された500社です。しかも、定期的に入れ替えがあり、魅力を失った企業はあっという間に指数から外れていきます。こういう指数であれば長期投資の対象になるでしょう。
では、もっと厳しく選別しているはずのアクティブファンドなら何でもいいかというと、もちろんそんなことはありません。やはり大事なのは中身です。運用者が誰で、どんな運用哲学を持ち、どんな企業を組み入れているかなどを吟味し、自分のお金を預けるに値するアクティブファンドを選ぶ必要があります。月次レポートなどを見ても、中身が想像できないようなファンドは避けた方が無難です。