弁護士相談のプラットフォームサービス「カケコム」を運営する、株式会社カケコムは2020年6月、「コロナ解雇に関するアンケート」の結果を発表した。調査日は2020年6月20日で、実際にコロナ解雇にあった20~50代の男女100名を対象に実施した。これにより、新型コロナウイルス感染症の影響を背景とした従業員解雇の実態と、従業員が感じる違法性が明らかとなった。
コロナ解雇は「サービス」「小売」「メーカー」で多く見られる傾向
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて経営不振となった企業が、やむを得ず従業員を解雇する「コロナ解雇」が顕著化している。厚生労働省による2020年6月15日の発表では、新型コロナウイルス感染症拡大のために起きた解雇や雇い止めは、同12日時点で見込み数を含め2万4,660人におよび、経済への影響の大きさを物語っている。
このような動きは、サービス業を中心に広がっていると言われているが、実際にはどのような業界で「コロナ解雇」が起きているのだろうか。最初に、コロナ解雇を受けた人が当時勤務していた企業の「業界」を聞いた。その結果、「サービス業」が39%と最も多く、次いで「小売業」が17%、「メーカー」が11%だった。サービス業界は、休業要請を受けた飲食店やインバウンドと関連性の高いホテル、観光業などで大きな影響を受けたことから、他の業界と比べて特に多い結果となった。
さらに、あまり注目されないものの、金融やインフラ、IT、商社等でも解雇されたケースがあり、多岐にわたる業界でコロナの影響が出ていることがわかった。
「パート・アルバイト」に次いで「正社員」も解雇対象に
次に、解雇にあった時の雇用形態を聞くと、最も多かったのが「パート・アルバイト」で36%、次いで「正社員」で29%、「派遣社員」で19%だった。これまで「安定した立場」だと思われていた正社員の解雇率が、派遣社員や契約社員よりも高いことが判明した。
解雇を「違法だったと思う」人は2割以下。「会社も被害者」という従業員の声も
また、今回の解雇に違法性があったと思うかを尋ねた。その結果、「違法だったと思う」は15%と全体の2割未満にとどまった。これに対し、「違法だったとは思わない」は53%と過半数を超えた。違法性を感じていない人が多いことから、コロナが経済に及ぼす影響は、「ある程度は仕方ない」と捉える人が多いようだ。
「違法だったと思う」と回答した人に理由を聞くと、以下のような回答が得られた。
・雇用を維持して社員の生活を守るのは、企業の責任だと思うから。(40代男性)
・まだ解雇されるほど影響を受けているとはいえない状況だったので、納得できない部分が大きい。(30代女性)
・契約期間中にも関わらず解雇されたから。(20代女性)
・結果として「契約期間満了」という形での解雇だったが、それ以前は延長するという話になっていたため。(20代男性)
一方で、「違法だと思わない」や「わからない」とした人に、その理由を聞くと以下のような回答があった。
・納得はいかないが、会社の経営状況を考えると仕方ないと思うから。(30代男性)
・解雇は残念だが、会社も世界を震撼させたコロナの被害者だと思う。(40代男性)