最も卑劣な「後出しジャンケン」批判

 そうだとしても、門外漢にとっては確信をもてる情報にたどり着くことは難しい。PCR検査をもっと増やしたら、感染状況がわかり、それによって感染の拡大を減らせるよい対策を示せるのか、4月中旬の時点では感染者数はそれほど増えていないが、それは指数的に増加するという予想に反して、国民への自粛要請が奏功したということなのか。それらの疑問について確信できる回答は得られない。専門家でも、自信をもって説明できないのではないだろうか。

 このような場合、私自身は、できるだけ多くの専門家の見解に耳を傾け、信頼できそうな専門家の意見にまず従うことにしている。優れた研究者は、自分と異なる立場の見解についても、真摯に、中立的に分析し評価する。そして、明確な理由を示して自分の見解を述べる。また、わからない場合は、可能性は述べることはあるかもしれないが、断言はしない。科学者としては当然の行為であるが、社会の一般人に対して情報発信する場合、そうした姿勢はむしろ自信のなさととらえられてしまうかもしれない。

 メディアに登場する専門家の多くはまじめな研究者であるが、メディア側が不安を煽る、あるいは魔女狩りをやりたがる結果、ときにそれに迎合する専門家もいる。メディアとともに専門家の姿勢も問われるところである。

 特に後からわかった事実に基づいて過去の政府の対策や専門家の評価を批判するような「後出しジャンケン」的な行為は卑劣だ。決定や評価の時点におけるベストの判断であったかどうかが評価されなくてはならない。

 未知の恐怖に直面しているとき、できるだけ冷静にダメージを最少化する努力をすべく現状における最善の策を講じること、今可能なことはそれしかないことをすべての人がしっかりと認識すべきだと思うが、いかがだろうか。