人種的不平等に抗議するプラカードを手にしたニューヨークのデモ隊(2020年6月9日、写真:ロイター/アフロ)

(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)

 米国で拡大する反人種差別デモに関して、米国の「仮想敵国」がここぞとばかりにネット上で米国批判を展開している。とくに中国、ロシア、イランの3カ国だ。

 このうち、中国の活動については前回記事「米国デモを香港弾圧の正当化に利用する中国」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60839)で紹介した。

 中国はこの件では、米国が自国でデモを鎮圧しながら、香港問題では中国を批判するという二重基準を「偽善だ」と印象づける情報発信を仕掛けている。中国は現在、香港問題で国際社会の強い批判を浴びているが、そういった批判の矛先を少しでも逸らす狙いだ。

 中国はコロナ問題では、米国政府の信頼性を損なうような扇動的な情報発信を、拡散のために大量作成したボット・アカウントなども駆使してSNSで展開していることがわかっているが、今回の反人種差別デモに対しては、おそらくそんな裏工作をせずとも、十分に米国社会の分断を煽れると判断しているのだろう。フェイク情報工作よりも、ストレートにデモ騒乱の情報を拡散することに、ほぼ徹しているようだ。

 では、ロシアとイランはどうか?