(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)
6月6日、米国のポンペオ国務長官は声明で、国内各地で続く抗議デモへの米国政府の対応を中国当局が非難していることに対し、「基本的人権および自由の否定を正当化しようしている中国共産党のプロパガンダの取り組みは、彼らのインチキのためであるとみなすべきだ」と非難した。つまり、自分たちの宣伝のために利用しているということだが、それはどういうことなのか?
中国は現在、米国内で拡大している人種差別デモに関連し、米国政府を非難するキャンペーンを繰り広げている。以下では、その実態を紹介したい。
中国が国際的非難を受ける中で発生した米国のデモ騒乱
まず、デモの発端となったミネアポリス市警察官によるジョージ・フロイド氏殺害が発生したのは5月25日のこと。抗議デモは翌日から始まり、5月末にかけて全米各地に急速に拡大。一部が暴徒化し、略奪も発生した。それに対応する一部の地域における警察サイドの強圧的な姿勢も大きく報じられた。
それに対し、当初は中国側の反応は薄かった。