5、「お使い」レベルのアラビア語

 別の場所で詳しく検証したが(https://bunshun.jp/articles/-/7909)、筆者のようにアラビア語をある程度勉強した人間にとっては、小池氏のアラビア語は、学歴詐称の最大の証拠である。語学は、誤魔化しがきかない。小池氏はアラビア語の通訳をやっていたと自称しているが、たとえその後の経過年数を考慮しても、これで通訳をやるのは不可能だ。もちろん大学レベルの読み書きができたはずもない。

 できるというのなら、外国人記者クラブで台本なしでアラブ圏の記者とやり取りをしてみせればいいだけのことだ。これが小池氏の言うことを信じられない5つ目の理由である。

カイロ大学正門(筆者撮影)

6、有効性に疑義のある卒業証書類

 小池氏が一度だけフジテレビの「とくダネ!」で短時間公開した卒業証明書は、最重要要件であるスタンプの印影の鷲のマークも周囲の文字も判読不能で、有効なものとは言い難い。4か所ある署名欄は2つの署名しか確認できない、発行日も判読不明、右下にある署名らしきものも何なのか不明である。卒業証書にいたっては、有効であるための複数の要件を欠いており、卒業証明書以上に有効性に疑義がある。この点については現物がきちんと公開された段階で、あらためて指摘する。

 また石井妙子氏は、『振り袖、ピラミッドを登る』の扉とフジテレビで公開された卒業証書のロゴが違うと指摘している(https://bunshun.jp/articles/-/7792)。これに対し、小池氏は記者会見で「卒業証書は1枚しかない。大学が発行した唯一のもので、それ以上のものはない」と反論した。しかし、両者が違っているのは一目瞭然で、ここでも小池氏は嘘をついている。論理的に言って、2枚のうち少なくとも1枚は(場合によっては2枚とも)偽物ということになる。

 小池氏があくまで現物の提出を拒み、フジテレビのスクリーンショットで判断しろと言うのなら、両方とも無効である。スクリーンショットは画像が不鮮明で、スタジオ内の強いスポットライトで一部が見えなくなっている可能性もあるので、きちんと公開することは、小池氏にとっても有利なことのはずだ。それをあくまで拒否するのなら、有印私文書偽造・同行使の嫌疑をかけられても、文句は言えないだろう。これが小池氏の言うことを信じられない理由の6つ目である。

(後編に続く)https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60763