米トランプ大統領は新型コロナウイルスの感染拡大ついて中国の対応を厳しく批判している(AP/アフロ)
意見対立を消化できない民主主義国家

米国や欧州連合(EU)が苦しんでいるのは、民主主義国家としてさまざまな意見対立が生じる中で、その意見対立を社会システムの中ですぐには消化できないということだと
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その通りだね。

例えば、オーストラリアは今回のコロナで中国の対応を批判しましたが、経済自体は対中貿易で成り立っている。2000年以降の経済成長は中国のおかげですよ。一方で、「魂までは売らない」と言うオーストラリア人がいるように、共産主義に対する相克もある。国家体制と経済のはざまで身動きが取れない。

国家間の対立も経済の不透明感を高めるよね。国の話でもう一つあるのは、今回のコロナ禍で、各国は大なり小なり失業対策や貧困対策などの財政政策を打ちました。その財政負担を将来的にどうやってカバーするのかという議論はグローバルで間違いなく浮上するでしょう。
その際に、失業した人から税金は取れませんので、富裕層から課税するしかない。富裕層から取ろうとすると税金かインフレのどちらかになります。そうすると、資産を持っている人はどう防衛すればいいのか。税金の徴収とインフレによる通貨価値の減少に対して取り組まなければならない。
財政破綻容認?慎重な対応を迫られる財務省

間違いなく富裕層は狙われますね。財務省の方たちとディスカッションしていて感じることですが、財政規律にうるさい財務省が「今の状況で財政規律と言っている場合ではない」というぐらいに追い込まれている。「経験のない、未曾有の事態だ」と。言ってしまえば、もう財政破綻は止むなしと割り切っている感があります。
今回のコロナ禍は今までに経験したことのないブラックスワン。過去の対処法をいくら知っていても、これからの対応の役に立つかどうかは分からない。ならば、足元の状況に粛々と対応するしかない──。そういう判断ですね。財務省の枢要なポジションにいる方が「インフレはやむを得ない」「不振のインフラ・基幹企業の国有化議論を始めなければならない」と言っちゃうんですから。
でも、仮に北海道など地方で一度、金融危機が起きればたちまち地方経済は立ち行かなくなりますし、行き詰まって自殺者が増加するかもしれないしかねません。正直、地方北海道から都市部本州に多くの方が出稼ぎに来るというレベルでしょう。そういう話をしても、「もうそれは仕方がない」「止める方法が考えつかない」と。半年前に、何としても我が国の金融システムを守らなければならないと言っていた人がですよ。
この価値観の変遷を見るに、今回のコロナが相当ショックだったのではないでしょうか。たかが風邪に毛が生えたような感染症ごときで、人間関係のトラストや金融資産に対するトラストが破壊されるのを目の当たりにしている。そんな状況に、立ちすくんでいるという状況。
じゃあ、何を信じたらいいのか。それこそ缶詰かもしれないし、ペットボトルの水かもしれない。ちなみに、我が家の一角は水の保管スペースになっています。

あとは、ファミリーですよね。家族関係がハッピーか、アンハッピーかで幸福度が劇的に変わる。