韓国のアリ(個人投資家)たちは、今年に入って5月まで50兆ウォン(約5兆円)を超える海外株を買い漁った。
地域別では米国がダントツ多く353億6919万ウォン。過去最大の購入金額だった。海外株に占める米国株の割合は86%(金額ベース)である。
個別銘柄では、アップルがダントツ1位で、ハズブロ(Hasbro:玩具会社)、マイクロソフトと続き、なんと6位には日本の昭和電工が入っている。
現在、韓国の個人投資家たちは「スマートマネー」という異名を取っている。スマートマネーとは、短期の売買で高い差益を狙う資金のことである。
こうしたスマートマネーが狙う企業の中で、ハズブロが2位に入っているのが面白い。ハズブロは、米国の玩具メーカーで、モノポリーなどのボードゲームやアクションフィギュアなどのキャラクター玩具が主流だ。
スマートマネーは、米国でコロナ禍により在宅時間が増えるからその恩恵を得るのではないかとみているのだ。
同じく、日本のビデオゲームやナムコバンダイやコナミもそれぞれ10位、11位であり、同じ理由からとみられている。
6位の昭和電工に関しては、日本の韓国への輸出規制核心品目であり、半導体製造用のエッチングガスをを生産する企業だ。2次電池に入るパッケージングのラミフィルムも生産している。
コロナ禍により、グローバル半導体市場が委縮するという懸念があっても、データセンターなどで需要は堅調であり、今が安値と判断したスマートマネーが飛びついたとされている。
韓国では、ポストコロナという言葉が流行り始めた。長く続いた辛い引きこもり生活からそろそろ抜け出し、新たな成長を夢見ているのがスマートマネーと言えるだろう。
そして投資先は国内にとどまらず海外の有力企業へと広がっている。
韓国民としてはこれが果敢な挑戦で大きなリターンを得てほしいと思う半面、米国でのコロナ禍に収束の兆しが見えないこと、また米中の対立が激しさを増す中で、やや勇み足ではないかと心配でもある。