電話会談で新型コロナウイルス対策について意見交換した習近平氏とトランプ氏

「チャイナウイルスと言って何が悪い」

 ドナルド・トランプという人物は正直だ。言いたい放題のことをツイートしている。事実誤認やフェイク情報はしょっちゅうある。

 しかし、トランプ大統領のツイッターは「トランプウォッチャー」にとっては重要なツール(判断材料)でもある。

 彼が一体何を考え、感じているか、喜怒哀楽が手に取るように分かるからだ。

 新型コロナウイルスを「チャイナウイルス」と呼んだことを中国がとがめると、3月17日、こうツィートした。

「このウイルスは中国からもたらされた。(チャイナウイルスと呼ぶのは)完全に正確な表現だ」

 その後、米国内の中国系米国人の有力者や団体から「人種差別的発言だ。それにより米国内のアジア系がハラスメントを受けている」という抗議を受けるや、トランプ大統領は使わなくなった。

 再選を目指すトランプ氏にとっては、相手にする「中国人」は何も太平洋の向こうにいる中国人だけではない。

 米国には380万人の中国系米国人が住んでいる。日系や韓国系を含むアジア系米国人となれば、2100万人だ。

 トランプ氏が一言「チャイナウイルス」と言っただけで米国に住む(欧州ではもっとひどいようだが)アジア系は一部の非アジア系に「コロナ」だとか「国に帰れ」と罵られている。