(PanAsiaNews:大塚 智彦)
日本の首都東京では、小池百合子都知事に対し、東京の「都市封鎖」でコロナウイルスの感染拡大に断固たる措置を講じるべきとの声が出る一方で、都民生活への深刻な影響や実効性への疑問などから「東京封鎖の是非論」が沸騰している。
世界第4位の人口(約2億6000万人)を擁する東南アジアの大国インドネシアでも同じようなことが起きている。中央政府と首都ジャカルタの州政府が「都市封鎖」はあくまで最後の手段として発布に躊躇するなか、事態を深刻にとらえる地方都市ではすでに独自に封鎖や準封鎖を実施するなど「地方の反乱」が起きているのだ。
後手後手の政府を見て、地方が独自に拡大防止策
新型コロナウイルスの感染が急激に拡大しているインドネシアでは、ジョコ・ウィドド大統領による「都市の封鎖や独自の検疫体制などを地方自治体が勝手に実施することはできない」との基本姿勢に反して、独自に都市や地方に事実上の封鎖宣言を行ったり、検疫体制を強化したりするなどの動きが急速に広がっている。
手ぬるく、後手に回っている政府の対策を見て、事態の深刻さを認識した地方が独自に住民への感染拡大の防止に乗り出しているのだ。
こうした中央政府と地方自治体とのコロナウイルス感染拡大防止に対する温度差が顕著になっているにもかかわらず、国会は「大統領の指示を遵守していない」と地方を厳しく批判するだけで、なんら有効な手段を講じようとしていない。
最近になってようやく、政府の中から「地方を批判するだけでは問題解決に結びつかない」として、都市封鎖に関するルールなど、一定の指針を至急作成し、今後はそれに準拠することを求めるような方向転換の兆しも生まれてきた。まさに地方が中央を動かす形となっている。