横浜港に停泊する大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」(2月11日、写真:ロイター/アフロ)

「カオスで、混沌としている。大いに疑問を感じる」

 ロシア外務省のザハロワ報道官は、横浜に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」における新型コロナウイルスをめぐる日本の対応について、こう手厳しく批判した。

 感染者が搬送されたが、船内には子供2人を含む24人のロシア人客がいるため、ロシアも事態を注視しているのである。

 ザハロワ報道官の批判が的を射たものかどうか、日露のアプローチの違いについて考えてみたい。

 ロシアにおける感染者は非常に少ない。この原稿を書いている2月11日時点でわずか2人、いずれも中国籍だ。

 1月31日にこの2人の感染が確認されてから、新たな感染者は一人も出ていない。

 ロシアは中国と約4200キロにわたって国境を接している上、人や物の往来がとても活発だったので、筆者はこの数字には正直なところ驚いている。

 ロシアは、中国と非常に近しい関係にありながらも、中国人の入国制限や陸路国境の閉鎖など厳しい措置を取った。

 ロシア新首相によってこれらの措置が発表されたのが1月30日。日本も同じくらいの時期に対策本部を設置している。

 しかし、自国民の退避という点では日本とロシアでかなり差があり、日本の方が親切だった。