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  いよいよ2020年に突入しました。令和も2年目を迎え、新たな時代の色が浸透し始める予感がしています。人事の世界でも、昨年の終身雇用制や新卒一括採用の終焉をきっかけに新たな時代が始まる年になりそうです。さて、今年はどんな年になるのでしょうか。1月のInside HRは、2020年の人事トピックをもとに今年人事はこうなる、という予測をご紹介します。

2020年、人事領域の主要トピック

 本年もInside HRでは、いち現場の人事担当者の視点から様々なトピックをご紹介していきます。お付き合いいただけますと幸いです。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、2020年最初のInside HRは「今年の人事はこうなる」というテーマで、人事界隈の気になるトピックと予測をお伝えします。まずは独断と偏見により、今年世間で話題になりそうなキーワードをもとに、日本の人事がどうなるのか考えてみたいと思います。

採用戦争の本格化
 2019年よりさらに、採用活動は激化します。激化の度合いも、想定を大幅に上回り、人材の取り合いが本格化すると考えています。いわば、「人」という資源を巡る採用戦争です。昨年までは、特に優秀な学生や20~30代の優秀人材の採用を巡っての取り合いでした。有名大企業以外では、新卒も中途も必要な人材はある程度確保できていたが、人数が足りなかったという企業が多かったのではないでしょうか。

 2020年は、人材自体の確保が難しくなるでしょう。背景には、大手企業による定年退職を見越した大量採用があります。企業によっては、全社員の2~3割程度にあたるシニア世代がこの10年以内に定年退職します。従業員数が数万人規模の企業であれば、数千人~1万人を超える人員減が発生します。この大幅減員に対応するために、今年、大企業はかなりの費用を投じて人員確保に動くでしょう。

兼業・副業時代の本格化
 昨年は副業に関する書籍が発刊されベストセラーにもなりました。副業人材と企業をつなぐプラットフォーム事業となるべくサービスを提供するベンチャー企業も増えたと実感しています。厚生労働省も、副業・兼業に関するガイドラインを発表しました。2019年はまさに「副業元年」だったと思います。

 2020年はさらに副業が本格化すると考えています。人材不足による優秀な人材の定着・確保を目的として具体的な規定を設けて積極的に副業を認める企業も増えるでしょう。また、総額人件費を抑えるという目的でも、社員の副業を認める企業もでてくるのではないでしょうか。

テレワークの本格化
 今年はオリンピックイヤーでもあります。オリンピック開催にともなう混雑解消を見込んで、国は数年前からテレワークの導入に本格的に取り組んできました。2017年から、オリンピック開催期間にあたる7~9月に「テレワーク・デイズ」を開催し、企業等の団体にテレワーク推進を呼びかけています。2019年は、過去最高の2,887団体がテレワーク・デイズ期間中にテレワークに取り組みました。いよいよ本番となる2020年はさらにテレワークという就業形式が普及すると予想されます。これからますます、自宅やサテライトオフィスで働くことが当たり前の世の中になるでしょう。

 他にも、2020年4月の派遣法改正による「同一労働同一賃金」のさらなる浸透といった気になるトピックがまだまだありますが、次回以降に改めて取り上げていきたいと思います。