自分らしく、充実した日々を送るために必要な生活習慣を知ろう

 実際に業績が伸びている会社の人たちに「普段の生活でどのようなことに気を付けているか」をヒアリングしました。共通する生活習慣のうち、今回は基礎として知っていただきたい3つのポイントをお伝えしたいと思います。これを2020年の習慣として取り入れれば、常に「自分らしく、充実した」1年を過ごすことができるでしょう。

<伸びている会社の社員が心掛けている生活習慣>
1.出社すべき時間に遅滞なく出社する
2.休日に無理をしない
3.期日の半日~1日前目標で仕事を進める

1.出社すべき時間に遅滞なく出社する
 統計上の話ですが、これまで利益が出ている会社で社員の勤怠状況が悪いという例を見たことがありません。つまり、社員の勤怠状況が悪いと、現状より利益を上げる会社は「ない」、ということです。それは、結果として給与も今以上には上がらないということになります。

 一方で、今は共働きの家庭が多く、小さなお子さんを簡単に保育園などに預けられない、または家族の介護があるなど、「何の弊害もなく、仕事だけに集中できる人」というほうが少ない時代かもしれません。家族やペットなどが急な体調不良を起こした場合、どうしても働いている家族が会社を半休、または1日休んで対応しなければいけないこともあるでしょう。昔より、格段に良い勤怠状況を維持することが難しくなっているのです。

 だからこそ、そうしたアクシデントが「ない」通常の時くらいは、決められた時間に出社ができていないと、会社としても組織を統制することが難しくなってくるでしょう。また、非正規雇用、業務委託などの人たちは、やはり立場上なかなか遅刻はしにくいものです。できる正社員の人たちは、そういうことがわかっているので、電車遅延がもしあっても会社へ定時に着けるように、1本か2本分早い電車に合わせて家を出ているわけです。そうした配慮ができる職場であれば、正規、非正規に関わらず、平等な「気持ち」で働くことができます。

 しかし「電車1本分の遅刻くらい大したことない、それで会社が潰れるの?」という面持ちで正社員が出社してきたら、非正規などの方達は「自分達はきちんと出社しているのに」と、違和感を覚えることのほうが多いでしょう。当然その会社に好意を抱くはずもなく、彼らの仕事に対するモチベーション、パフォーマンスも、下がることはあっても上がることはありません。

 こうした些細なことすら、利益にも影響が出てくるわけです。一緒に仕事をする人に対して「どう敬意を払っているか」。その考えが如実に表に出るものの一つが、「勤怠」であると思います。

2.休日に無理をしない
 ある職場で、勤怠が良くない人、仕事のパフォーマンスが良くない人たちに、体調や人間関係で何か問題があるのかと知人がヒアリングをしたそうです。その中で、休日を目いっぱい趣味に費やし、疲れ切った状態で休み明けに出社したり、徹夜で動画を見てそのまま翌日出社をしたり、といった社員が一定数の割合でいたそうです。休息すべき時に十分な休息を得ていないために、睡眠不足や体力不足に陥り、勤怠やパフォーマンスが悪くなっていたということです。

「プライベートなので干渉しないでください」という人もいると思いますが、それは勤怠や仕事に影響がなければの話で、会社の人事担当からすると「プライベートくらい自己管理してくれないと、こっちも仕事が増えて困る」と言いたくなるのではないでしょうか。

 自己管理ができている人は、睡眠や休息の大切さを理解している人が多いので、週に2日休暇があれば、0.5日分はあえて予定を入れずに家でゴロゴロしたり、公園でのんびり過ごしたりして休み明けの仕事に備えることが多いようです。

 たとえば土日休みの場合、休み明けの月曜日に体調不良や遅刻などが多い人は、プライベートの時間の過ごし方について、自分と周囲がどう違うのか、同僚や友人などと比較して、休みの過ごし方を一度見直してみるとよいでしょう。


3.期日の半日~1日前目標で仕事を進める
 仕事を遅滞なくこなしている人達と話をしていると、「自分を過信していない」人が多いことに気付きます。「もし自分が病気になったら」「もし子供が学校でケガをしたら」「もし周囲の人が急に休んだら」「もし自分が仕事で単純ミスをしていたら」。常に想定できる最悪の状況を考えて、逆算してスケジュール、計画を立てている人がとても多いのです。

「自分」「家族」「同僚・取引先など」それぞれに、何かアクシデントがあっても、業務全体を滞らせない対応、ということを常に考えています。具体的には目安として半日か1日、本当の期日よりも前倒しで仕事を進めている方が多いです。そうしておけば、突然何かアクシデントがあったとしても、その半日か1日の間に対応を決めたり、誰かに代理をお願いしたりすることもできますし、早めに仕事ができあがっていたら納品を済ませてそのまま半休、全休しても周囲に負担をかけることもありません。また、自分自身が常にそのように仕事を進めていれば、同僚などの周囲にアクシデントがあっても逆に自分の時間を使って対応、協力してあげることもできます。

 このように「余裕のある人」が集まる職場と「余裕のない人」が集まる職場、どちらが良い仕事を実践し、利益を出しているのか。そして自分自身も安心して休暇を取り、余暇を過ごすことができるのか、わかるのではないでしょうか。

 そしてもう一つ、これら3つの習慣は黒字化している会社の経営者が「常に」実践している習慣だと思います。ここに歩調を合わせられる人が「経営方針を理解している社員」「利益をもたらすことができる社員」におのずとなっていくと思います。

 2020年は、皆さん一人ひとりの行動習慣で職場を「余裕のある会社」にし、「利益の出る会社」にしていきましょう。
 

 
前田康二郎氏
著者プロフィール


流創株式会社 代表取締役 経営コンサルタント

/作家 前田 康二郎

 

数社の民間企業で経理総務、IPO業務、中国での駐在業務などを経て独立。現在は「フリーランスの経理部長」としてコンサルタント活動を行うほか、企業の顧問、社外役員、日本語教師としての活動、ビジネス書やコラムの執筆なども行っている。著書は『AI経理 良い合理化 最悪の自動化』のほか、『スーパー経理部長が実践する50の習慣』、『職場がヤバい!不正に走る普通の人たち』、『伸びる会社の経理が大切にしたい50の習慣』『経営を強くする戦略経理(共著)』、『スピード経理で会社が儲かる』、『ムダな仕事をなくす数字をよむ技術』、『自分らしくはたらく手帳(共著)』など多数。節約アプリ『節約ウオッチ』(iOS版)も運営している。

 

流創株式会社
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