また、米国の規制にも抜け穴がある。商務省は一部の部品については輸出を許可しており、ファーウェイ製品には今でも米国製部品が使われているという。

 近年、中国メーカーの技術力は驚異的なペースで高まっており、すでに多くの半導体部品を自国で製造できるようになった。また中国国内には10億人の消費市場があり、国内需要だけでも巨大なビジネスになる。スマホというコンシューマー向け商品を海外に輸出しにくくなったことを除けば、それほど大きな影響を受けていない可能性が高い。

基地局市場では圧倒的なトップ企業

 ファーウェイはスマホを製造するメーカーでもあるが、売上高の約半分は基地局などの通信機器や各種ネットワーク機器となっており、法人向けの販売も多い。こうした法人向けの製品についてはどうだろうか。

 実は、ファーウェイという企業は、携帯電話の次世代通信規格「5G」関連分野で極めて大きな影響力を持っている。

 携帯電話基地局の出荷においてファーウェイは全世界の31%を占めるトップ企業となっており、他社も含めると中国メーカーは世界の基地局市場の4割を握っている。アジア各国は国策として5Gのインフラ構築に力を入れているが、一連のインフラ整備にファーウェイはなくてはならない企業になっている。

 米中のいずれとも距離を置き日本の保守層からも高く評価されているマレーシアのマハティール首相ですら、「東洋の製品はもはや模倣品ではない」「(ファーウェイについて)可能な限り技術を利用したい」と延べ、ファーウェイを排除しないどころか積極的に活用する方針を示している。基本的にアジア各国は、ファーウェイの技術を使って5Gのインフラを構築する方向で動いており、米国の禁輸措置はほとんど効果を発揮していない

 もっとも米国も、アジア地域でファーウェイがどのようにビジネスをするのかについては、実はあまり関心を持っていないだろう。米国はすでに巨大な消費国家であり、必要なものはすべて輸入する国である。携帯電話の基地局もほとんどが欧州メーカーからの輸入であり、米国企業がファーウェイの巨大化でマイナスの影響を受けているわけではない。

 トランプ政権としてはあくまで外交交渉の1つでしかなく、ファーウェイの禁輸についても、おそらくそれ以上の意味はない。ファーウェイをはじめとする中国製品に本当に安全保障上の重大問題が存在しているのであれば、他の中国メーカーも同じ対応となるはずだが、国防総省などの政府機関は、今でも多数の中国製品を購入している。米中交渉がまとまれば、あっけなく禁輸措置を解除する可能性も十分にあり得るだろう。