12月26日、経団連の会合に出席した安倍首相。あいさつの中で、7年連続の賃上げを要請した(写真:つのだよしお/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 2012年12月26日、第二次安倍政権が発足してから7年が経過した。第一次政権時代を合算すると憲政史上最長の内閣である。だが今年の後半になって、大学入試への英語民間試験や国語・数学の記述式問題の導入撤回、「桜を見る会」問題、秋元司衆議院議員逮捕など、政権の信頼性を揺るがす事態が続けざまに起こっている。

問題山積、スキャンダル頻発でも政権交代の気配なし

 長期政権になっている理由は、第一に野党の非力さにある。安倍内閣には上記の問題もあるが、それ以前には、9月に発足した第四次改造内閣で、すぐに二人の大臣が不祥事で辞任しているのだ。

 しかし、政権が打撃を受けたようには思えない。「野党に政権を渡すよりもましだ」と思う有権者が多いからである。

 私は、第一次安倍政権で閣僚を務めたが、その当時とは全く雰囲気が違う。安倍首相が腹痛のため辞任した後に、福田、麻生と内閣が続いたが、厚生労働大臣として残留した私は、諸問題の処理に苦労したことをよく覚えている。

 参議院は野党が多数派を占める「ねじれ国会」であり、法案を通すのに、野党の要求する修正を受け入れたり、付帯決議を付けたりする妥協を余儀なくされた。国会は緊張に溢れており、能力の無い大臣では務まらない状況であった。政権交代の足音が聞こえてくる状況の下で、いつ野党になるか分からない政権の意向を忖度する役人などはいなかった。森友・加計問題や「桜を見る会」に関するような官僚の答弁はありえなかった。