田原 こういう犯罪は外国から仕掛けられているんですか、それとも日本人がやっているわけ?
山田 基本的には外国が多いですね。
田原 どこの国ですか。
山田 多いのは、中国、ロシアですね。それから北朝鮮からもあります。
東京の引きこもりがサイバー犯罪集団にリクルートされている
田原 それは中国やロシアの犯罪集団がやっているわけ?
山田 そうです。じゃあ、サイバー攻撃やサイバー犯罪をしているのは具体的に誰なのかという話になりますが、海外の情報関係の人などと話していても、みな「三層に分かれている」と言っています。
田原 三層?
山田 はい、一番上の層は政府系。この人たちは、それこそ映画『ミッション:インポッシブル』ばりに、豊富な資金と機器を背景に、なんでもできる人たち。これはまた後で説明することにします。
二番目の層が、先ほどから出ているマフィアと呼ばれるような犯罪組織です。彼らは、おカネを稼ぐことを目的に、組織的に犯罪に手を染めている。そのマフィアの多くはロシアにいます。
田原 ロシアが多いの?
山田 多いですね。それからロシアと横のつながりがある中国、北朝鮮も多いです。ロシアはサイバー関連の技術力が非常に高いので、他人のコンピュータに入り込むためのいろんなツール——不正プログラムとか偽のEメールとか——を開発するのが上手いんです。そして、それを自分たちで使うだけじゃなく、中国や北朝鮮に販売しています。
田原 ロシアの犯罪者集団が、中国とか北朝鮮とかに?
山田 はい。それから韓国にも売っています。この市場が、いま800億円くらいの規模になっていると言われています。しかもCIAの人間が言うには、ロシアの犯罪者集団はそうした不正プログラムを作るために、自宅に引きこもっている日本人をリクルートしているそうです。
田原 どういうこと?
山田 家に引きこもってネットゲームに没頭している人は、ITスキルの高い人もいます。ただ彼らの中には働いていない人も多く、おカネがない。そこで、まずは彼らとネットゲームを通じて知り合いになって、親しくなったところで「報酬を支払うので、プログラムを作るのを手伝ってくれ」と持ち掛けるそうです。プログラムを作るのってやっぱり時間と人手がかかりますからね。特に東京がそうしたリクルートの場になっていることは、欧米の情報機関関係者の常識です。
田原 じゃあ、三層あるうちの一番下の層っていうのはどういう人たち?
山田 ここは、ネット上に転がっている不正なプログラムなどを拾ってきて、面白半分に誰かに送りつけたりするような人たちです。日本でもときどきニュースになりますが、中学生や高校生も多いです。
田原 いたずらみたいなもんだ。
山田 そうですね。ネット上で入手した悪意あるソフトウェアとかウイルスを警察に送ってみたりして、すぐ捕まったり。ときどきニュースになっていますよね。
このレベルのサイバー攻撃に対しては、市販のウイルス対策ソフトとかセキュリティソフトをパソコンに入れておけば簡単に防御できます。ですから、対策さえしておけば心配する必要はありません。