研修会社と人事が手を組み、時代の変化に対応しよう

 それでは、これからの研修会社はどうあるべきでしょうか。また、人事は研修会社とどのように付き合っていくべきでしょうか。

 まず研修会社は、常に人事の一歩先をいかなければなりません。Googleで検索すればあらゆる情報が出てくる現代では、MBA知識のインプットや欧米的なマネジメント研修はもう不要です。日本経済に起こっている変化に真剣に向き合い、どうすれば日本が今後も持続的に成長できるかを考える必要があります。その上で、単なる「研修」ではなく、時代に対応できる人材の「育成」ができる方法を根本からつくってはいかがでしょうか。

 また、人事も研修会社に任せきりの状況はやめ、今まで長年付き合ってきた研修会社があれば、完全に見直しましょう。まずは時代変化の中で、自社の人材戦略のあり方を真剣に考え、研修だけではなくデジタルやタフアサインメントなどを活用した育成手法を取り入れるべきです。

 さらに、不確実性の高い今の時代では、企業のニーズは常に変化します。ニーズをもとにサービスを開発していてはサービスが古くなってしまいます。研修会社に限らず、これからのHR系ベンダーは人事と一緒にサービス開発をするべきでしょう。また、人事も積極的にベンダー側に情報提供を行い、自社にあったサービスを「共創」することがこれからの不確実な時代に求められることではないかと思います。

 単なる手法や自社の「研修」だけを売り込んでくる研修会社は、これからの時代にふさわしくありません。時代背景をもとに企業の持続的成長を真剣に考え、「研修」や「コンサルティング」だけではない新たなソリューションを一緒に考えてくれるベンダーが良い研修会社です。これからの研修会社は、人事の課題解決を通じて日本企業を変える「戦友」であってほしいと思います。

 今回もお読みいただきありがとうございました! 次回もよろしくお願いします。

参考文献:経営競争力強化に向けた人材マネジメント研究会 報告書

著者プロフィール
 

中野 在人

東証一部上場大手メーカーの現役人事担当者。
 

新卒で国内最大手CATV事業統括会社(株)ジュピターテレコムに入社後、現場経験を経て人事部にて企業理念の策定と推進に携わる。その後、大手上場中堅メーカーの企業理念推進室にて企業理念推進を経験し、人材開発のプロフェッショナルファームである(株)セルムに入社。日本を代表する大手企業のインナーブランディング支援や人材開発支援を行った。現在は某メーカーの人事担当者として日々人事の仕事に汗をかいている。

 

立命館大学国際関係学部卒業、中央大学ビジネススクール(MBA)修了。

 

個人でHRメディア「HR GATE」を運営中。
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