「弾劾大統領」の烙印
下院司法委員会が12月13日、ドナルド・トランプ第45代大統領を「権力乱用」「議会侮辱」で弾劾訴追する決議案を可決、本会議に送付した。
これまで法律専門家やメディアが論じてきた筋書き通りのシナリオなのだが、論じられていたことと現実にそうなることとは大違いだ。
トランプ氏は正式に「下院で弾劾された史上3人目の大統領」という不名誉な烙印を捺されてしまった。大統領辞任後は刑事訴追される恐れすらある。
その大統領がぬけぬけと2020年の大統領選に再出馬するというのだ。弾劾審理・訴追に執拗を燃やしてきた民主党は、いやが上にも勢いづいている。
実際にトランプ大統領を弾劾できるかどうか(共和党が上院で多数派であることから弾劾放免の可能性が大)よりも下院の弾劾決議を錦の御旗にトランプ共和党を揺さぶり、2020年の大統領選はもとより上下両院選で圧倒的な勝利を収めるチャンス到来だ。
となれば、目下進行中の15人(12月13日現在)の大統領候補による指名レースにも変化が出てくるのは自然の成り行きだ。
いつまでも中道穏健派か、過激なリベラル派か、ベテランか、若手かで民主党支持者が2極化している場合ではなくなってきた。
そうした状況下で11月後半以降、いくつかの動きが表面化した。
一つは、バラク・オバマ前大統領が過激なリベラル候補を排除するような言動をしたこと。
特定の候補者名は上げなかったが、「米国民は現存の社会構造を壊すことは望んでいない」と述べた。