CASEの波、GAFAの脅威、部品メーカーとの関係
CASEとは、コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化という大波の総称だ。この波についていけない自動車メーカーに、おそらく未来はない。
一方で、CASEシフトが進めば進むほど、複雑なガソリンエンジン車の開発・製造のために積み上げてきた技術と系列サプライヤーの多くは不要になり、電池やモーターといったデバイスの開発が必須になる。さらにCASEの世界で競争相手になるのは、GAFAのような巨大なIT企業だ。虎視眈々とこの分野に足場を築いている彼らに、さすがの自動車メーカーでも資金量ではそうそう太刀打ちはできない。
トヨタのような完成車メーカー以上に苦境にあるのが、系列の部品メーカーだ。実際、完成車メーカーが過去最高の決算を記録する陰で、さらなる原価低減を突き付けられた部品メーカーからは悲鳴があがっているという。しかも彼らは、電動化によって取引が先細る不安も拭えない。
こうした環境の中で、日本を代表する自動車メーカー「トヨトミ自動車」の創業家出身の「豊臣統一」社長は何を考え、どういう判断を下しているのか。電気自動車開発で遅れを取った焦燥、取り巻き達の追従、幹部社員の背信など、リアルな描写。作中で描かれているストーリーは、現在と近未来の自動車業界を知る上で多くの示唆に富んでいる。