「プラスワン休暇」「キッズウィーク」など施策も続々と誕生

 休暇取得を促進する施策事例としては、飛び石連休中の平日や年末年始、土日前後等に年次有給休暇を取得することで連続休暇を1日プラスする「プラスワン休暇」や、社員とその家族の心身のリフレッシュを目的に有休とは別に休暇を取る「リフレッシュ休暇」、大型連休を地域毎に新たに設け、家族が一緒に過ごせる時間を増やす「キッズウィーク」、一定要件の下、年次有給休暇を計画的に割り振ることができる制度「仕事休もっ化計画」、リゾート地で休暇を兼ねてリモートワークを行う「ワーケーション」などが挙げられる。

 また、先進的な事例として知られているのが、ソニーの取り組みだ。同社は平日10日間、土日を含めて最長16日間の長期連続休暇が取れる「フレックスホリデー」制度を導入。通常の有給休暇とは異なり、取得が義務づけられており、これによってメリハリある働き方やワークライフバランスの取れた働き方を支援するという。

政府主導の施策で改革を後押し

 2014年6月、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2014」を閣議決定し、有給休暇を活用したシルバーウイークの大型化を促進する方針を打ち出した。さらに「休み方改革ワーキンググループ」を発足し、2015年には厚生労働省が「働き方・休み方改善ポータルサイト」を開設。“休み方改革”という言葉が徐々に広まり始める。そして2017年6月には「休み方改革官民総合推進会議」を新設し、官民をあげて休暇の充実した過ごし方等を提案している。先に挙げた「キッズウィーク」、「仕事休もっ化計画」や、毎月最終金曜日15時に仕事を終わらせる「プレミアムフライデー」など、政府が主導する施策も数多い。

 また、休み方改革に関連した助成金の制度もある。その中の一つ、「時間外労働等改善助成金」は、時間外労働を削減し、労働時間の短縮に努める中小企業に支給されるというものだ。複数のコースに分かれており、例えば「職場意識改善コース」では、週労働時間60時間以上の雇用者の割合5割減、年次有給休暇取得率70%の達成(2020年の目標)を目指し、成果目標を達成した企業には最大100万円が支給される。さらに、「テレワークコース」ではテレワーク用の設備の導入などを行い、効果的に運用している企業に最大150万円が支給される。その他にも各都道府県の労働局に「働き方・休み方改善コンサルタント」を設置し、労働時間の改善や休み方改革に関する相談などを無料で実施するなど、バックアップ体制も強化。こうした政府の後押しによって、改革の加速が期待される。

 次回は、休み方改革に関する具体的な施策や、企業の取り組み事例などを紹介する。

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