「グアム移転費用は誰が出すんだ」
トランプ大統領の不満は日本にも向けられる。著者はこう記している。
「マティス長官はスライドを使いながら主要同盟国に駐在する米軍兵力について一つひとつ細かく説明を続けた」
「マティス長官が日本や韓国に駐留する米軍部隊を示すスライドを示し、沖縄駐留の米軍がグアムに移転することを説明したその瞬間、大統領は激しく反応した」
「『移転費用以外のカネは誰が出すんだ』」
「大統領は苛ついていた。沈黙が流れた。『(同盟国との間に結んでいる)通商協定は犯罪だ。米国は日本と韓国につけ入るスキを与えているんだ』」
「トランプ氏の頭の中には米韓相互防衛条約も日米安保条約も『片務的』であり、米国ばかりが持ち出しの『不平等条約』だという考えがこびりついて離れないのだった」
「ゲリー・コーン国家経済会議(NEC)議長(前ゴールドマンサックスCEO)が経済的側面から同盟国との関係を説明した。大統領はこうコメントした」
「『勉強になった。ありがとう。これなんだな。何年も経つうちに巨大なモンスターが出現してしまったんだ』」
「『日本・・ドイツ・・・そして韓国。これら同盟国は、今日論議している(米国の国防費がなぜこんなにかかるのかという)議案の(一番カネがかかっている)張本人なんだな』」
「誰がどう説明してもトランプ大統領にとっては同盟関係はソロバン勘定でしか考えられないシロモノなのだ。米国という国家が第2次大戦後、イニシアティブをとって築き上げてきた同盟関係が米国の国益にいかに重要かという外交論は糠にクギだった」