東京五輪なのにマラソンが新国立競技場を発着点にできないなんてありえない

 ちなみにIOCから〝アスリートファースト〟という詭弁を使われ、いいように振り回された当のアスリートたちはその多くが怒りを通り越してモチベーションを低下させてしまっているという。前出の幹部は「IOCの強引な決定は、多くのアスリートの夢をぶち壊した」と険しい表情を浮かべ、こう続けた。

「五輪でマラソンを走る代表者を例に出せば、その誰もが後に閉会式が行われるメインスタジアムのスタンドからの大歓声を受けながらスタート、そしてゴールインを果たすことを夢見ている。もちろん東京五輪のマラソン代表になるランナーたちも例外ではない。それを『暑いから』だとか『事故が起こってからでは遅い』だとか・・・。

 ロクに準備に携わっていないお偉方は自分たちの利権や名誉を守ることだけにとらわれ、ここまで酷暑対策を念頭に置きながら死に物狂いで頑張ってきたアスリートたちの夢をいとも簡単に打ち砕いてしまっている。本当に許せないです。だったら『最初から東京でやるな』と言いたい。東京五輪なのにマラソンが新国立競技場を発着点にできないなんてありえない。これには東京五輪で男女のマラソン代表を狙う多くのアスリートが意気消沈している。『新国立でゴールすることをここまで目標に頑張ってきたのに』と絶望感に打ちひしがれているランナーも実際にいる」

 開催都市以外で五輪のマラソンが行われるのは長い歴史上で初。多くの感動を呼ぶ五輪種目のマラソン競技がここまでゴタゴタを引き起こせば、誰もが興ざめしてしまう。ランナーはやる気を失い、見る側だって興味を失っていくのがオチだ。マラソンの価値を下げ、ひいては五輪そのものにもマイナスイメージを植え付けさせつつあるIOCの罪は極めて重い。