よみうりランドのイルミネーション(筆者撮影)

(小谷 隆:コラムニスト)

 日が落ちると肌寒さをおぼえる10月末のある日、夕闇の降りてきた遊園地はおびただしい数の光の粒に彩られていた。その数、650万球。赤はルビー、青はサファイアなど、一つひとつの光は宝石色を使っているという。幻想的などという手垢に塗れた描写では物書きの端くれとして恥ずかしい限りなのだけれど、他にいい言葉が思いつかない。じっさいこういうものを幻想的というのだろう。

 ディズニーリゾートを除けば遊園地然とした遊園地に足を踏み入れるのは何年ぶりどころか何十年ぶりだったけれど、久しぶりに目にしたそれは遠い昔の記憶にある古いステレオタイプの遊園地のイメージとは大きくかけ離れたものだった。

 確かに観覧車もあればジェットコースターもあるし、メリーゴーラウンドもある。しかし、今どきの「遊園地」は幼い頃に見た子供の楽園とはほど遠い、明らかにおとなのために作られたアミューズメント施設なのだ。

ラスベガスのような大型のショー

 東京都稲城市と神奈川県川崎市多摩区にまたがる「よみうりランド」(東京都・矢野口)では、10月24日から来年(2020年)5月のゴールデンウィークまで、夜間営業を一面イルミネーションで彩る。