【キックオフ・カンファレンス第1部】ゲームを通じて多様性の不均衡を体感
第1部のワークショップは、参加者約80名と当初の想定よりも増えたため、急きょ2つの教室に分かれて行われた。まずは「ダイバーシティとは何か?」について、グループ毎に意見交換。その後、ダイバーシティの基本的な考え方として、「表層的多様性」(人種・民族、ジェンダー、言語、社会階級、年齢など)と「深層的多様性」(個性、知識、価値観・信念、教育歴・職歴など)について、ファシリテーターを務めた星加氏より説明があった。 さらに星加氏は、ダイバーシティを考える際の重要なポイントとして力の不均衡の問題にも言及、「実は社会の中ではあらかじめ、あるものは非常に優位な位置に、またあるものは非常に不利な位置に置かれています。多様性の中にあるこの不均衡というものを踏まえて考えないと、ダイバーシティを活かした組織を作っていくことはできません」と語った。
続いて、世の中のほとんどの人が車椅子ユーザーであると仮定した、『車椅子の村の寓話』という動画を鑑賞。マジョリティの作る社会の障壁を理解し、公平性の観点からダイバーシティについて考えた。さらにワークショップのメインとなる、グループ対抗のクイズ&ギャンブルゲームでは、各グループが与えられた持ち点を賭けながら、合計3問のクイズに挑戦。ゲームは白熱し、多いに盛り上がるも、一方で多様性の中に含まれる立場の違いを疑似体験し、冒頭で星加氏が指摘した不均衡の問題についても考えさせられた。
このワークショップを通じて、マジョリティとマイノリティは数の問題ではなく、有利・不利の問題(力の不均衡の問題)であること、そしてマイノリティが困難な状態に置かれやすいのは、マイノリティ側に特殊な性質があるからではなく、マジョリティに合わせた社会環境が無自覚的に作られているからである、という視点を参加者全員が共有できた。