若手の成長を阻んでいる要因
若手社員と、彼らの教育にあたる先輩や上司。両者の間に横たわるジェネレーションギャップは、人材育成の現場で常に大きな課題となってきた。そこへ一石を投じたのが、日本経済新聞出版社から2018年12月に刊行された『リクルートの営業コンサルが教える 自分で動く若手営業の育てかた』だ。
同書の著者・的場正人氏は、企業の人材育成を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズで営業マネジャーとして辣腕を振るい、現在は同社のエグゼクティブコンサルタントを務める人物。いわば育成のオーソリティーである。その的場氏が今年1月に開催した自著の説明会で語ったのは、若手の育成がますます難しくなっている現状だ。
いまは自社と他社の商品・サービスの差が小さく、セールスにつながる提案が難しい時代だ。ところが今の若手は困難を克服することが大の苦手。少子化や個性尊重型教育、いわゆる「ゆとり教育」の影響で、我慢・強制・競争・挫折・叱責・軋轢……といった経験に乏しいせいだ。なんとか経験を積ませようと思っても、効率化追及やIT革新などによって、従来なら新人に任せていた仕事はアウトソーシングされてしまっている。すなわち、「ビジネス環境の変化」「仕事・職場の変化」「社会・教育の変化」「新人・若手の変化」などの要因が、昨今の若手育成を難しくしている。的場氏はそう分析するのである。