*本稿は、『FISCO 株・企業報Vol.8』(実業之日本社)からの転載記事です。
日本は韓国の「ホワイト国」からの除外を決め、両国関係は悪化の一途をたどっている。もうひとつの隣国である中国はこの事態をどう見ているのか。そして、日中関係にどんな影響を及ぼすのか。中国研究の第一人者である遠藤誉氏に聞いた。
ファーウエイに迫る韓国勢の5G特許出願数
日本政府は2019年7月に、半導体製造過程に必要な材料の韓国向け輸出管理を強化するとしただけでなく、その後、安全保障上、韓国を信頼できないとして「ホワイト国」から韓国を除外すると発表した。喜んでいるのは中国だ。これまで中国が狙ってきた安全保障上の日米韓離間だけでなく、ファーウェイの一人勝ちにも貢献するからだ。韓国はまた、日本が「安全保障上、韓国を信頼できないと言っているのに、安全保障上の信頼関係に基づくGSOMIAを継続することなどできない」として、GSOMIAの継続を破棄した。その陰には「中露朝」が描いたシナリオがあるが、ここではまず、3品目の輸出管理強化に関して考察する。
ドイツのデータ分析会社「IPリティックス」による今年5月の調査データでは、5Gの技術標準(規格)に関する標準必須特許数で、ファーウェイは1554件と、2位のノキアの1427件を上回って世界トップの座にのし上がっていることを示している。しかしトランプ政権の攻撃により、トップの座を維持することが危うくなっていた。6月29日のトランプ大統領の(一時的)敗北宣言に近いようなファーウェイに対する制裁緩和を受けて、息を吹き返しそうではあるが、何と言っても3位と4位にはサムスン電子、そしてLG電子と、韓国勢が控えているのである。