現在の日本の電力供給システムの不具合は、明治時代の電力会社のエゴの産物なのです。その弊害が今回の大災害で露呈しました。

なぜ計画停電が実施されなければならないのか?

国内初のプルサーマル発電へ、九電の玄海原発が起動

中部電力の浜岡原発へ到着したウランにプルトニウムを混ぜたMOX燃料(2009年)。プルサーマル発電の是非が再び議論になってきた〔AFPBB News

 東京電力や東北電力圏内の発電所が被災し電力供給が滞った場合、停電を回避するために今回の大災害で影響を受けなかった中部電力や関西電力から余剰電力の融通を受ければいいのでは? という至極単純な疑問が出てきます。

 この東西日本の電力融通を妨げるのが周波数の違いなのです。

 東西日本間で電力を融通させるためには、周波数を変換する設備が必要になります。現在稼働中の50Hzと60Hzの周波数変換所の変換容量は、約100万キロワット(kW)しかありません。

 事故を起こしている福島第一原子力発電所だけでもその発電容量は470万kWとなっており、東京電力の電力供給不足分を補える融通可能容量では到底ありません。

 従って計画停電が必要なのです。今回の発電所への被害そのものは天災がもたらしたものですが、計画停電は非近代的な日本の電力供給システムが原因と言えるでしょう。

東京電力への影響

事故後の東京電力の株価

 言うまでもなく、今回の福島第一発電所放射能漏洩事故は当事者の東京電力にとって一大事です。

 放射能漏れの直接的な原因が地震災害によるものであったことと予想される賠償金額の大きさから、避難された住民の方々への補償や農業・水産業・企業などへの直接被害や風説被害に対する賠償を国が一部負担すると言われています。

 しかしながら、それでも東京電力の負担金を含む災害・事故対応費用は莫大なものになることが予想されます。

 日本経済新聞などの報道によりますと、賠償金額は数兆円に上るとの試算もあり、恐らく廃炉となるであろう福島第一発電所の廃炉処理費用、長期化が予想される計画停電などによる電力販売の減収などによって、東京電力の株価は3月31日の終値が466円と災害前の株価に比べ80%近く下落しました。