ラオスでは国際的なNGO組織などが不発弾回収作業に当たるとともに住民に対する啓もう活動を続けているが、「ラオスから全ての不発弾を撤去するにはあと200年は必要」(NGO)と言う声もあるほど、事故の根絶にはまだまだ程遠い状況にある。

不発弾事故の実態伝える資料館

 ラオスの首都ビエンチャンの一角にある「コープ・ビジターセンター」は、不発弾の恐ろしさを伝え、不発弾事故で手足などを失ったラオスの人々の生活を支える義手や義足を展示している資料館である。

「コープ(COPE)」は「矯正器具・人工装具事業協同組合」の略で、資料館は車椅子を製作する工房や不発弾事故負傷者の治療・リハビリを主に行う「国立リハビリテーションセンター」、身体障碍者用体育施設などと同じ敷地の一角に設けられている。

 資料館入り口の壁に掲げられた義足だけで作られた「COPE」の文字からは、この資料館が持つ意味が如実に伝わってくる。

義足で作られた「COPE」の看板(筆者撮影)

 館内に入ると米爆撃機から投じられたクラスター爆弾の親爆弾から空中に散布された大量(実際は約680個)の「子爆弾=ボンビー」が天井から降り注ぐような展示が目に飛び込んでくる。ボンビー一つ一つの中には鉄球約300個が内包されており、これが爆発で周囲に四散して人を殺傷するのだ。

 クラスター爆弾はその性質から「集束爆弾」あるいは「親子爆弾」とも称され、親爆弾から子爆弾ではなく地雷が空中でバラ撒かれるものもある。爆弾とその不発弾による犠牲者の多さから「非人道的兵器」とされ、国際社会では「クラスター爆弾禁止条約」が締結され、陸上自衛隊や航空自衛隊がかつて同爆弾を保有していた日本は2008年に禁止条約に署名し、2015年に自衛隊が保有していたクラスター爆弾が完全に廃棄されたことが確認された。

資料館内部のクラスター爆弾の展示(筆者撮影)

 米国などは不発弾の発生を極力抑えるような改良を施すなどして二次被害の軽減に努めているが、中国、ロシアなどのクラスター爆弾保有国とともに禁止条約には参加しておらず、イラク戦争や南オセチア紛争、アフガニスタンなどでのクラスター爆弾の使用例が報告されている。