MRCやタイ環境保護団体などによると、メコン川の水位や水流の季節に無関係な変化は流域住民の生活に加えて、周辺の自然環境にも影響を与え、生息する魚や水生植物、生物などにも減少や絶滅の危機といった問題を引き起こしているという。

 7月には環境NGOなどがバンコクの中国大使館に対し深刻な事態の実態を訴えるとともに流域の被害住民への補償を求める動きもみせている。

英字紙上での中国主張に反論掲載

 そうした中でバンコク・ポスト紙上に発表されたのが、前述の署名記事だ。7月12日の同紙に、在タイ中国大使館のYang Yang報道官による「誤った報道はメコン川での協力を阻害する」とする署名記事が掲載されたのだ。

 この記事の中で中国側はタイ国内でのメコン川に関する中国ダムの批判的な影響に関する報道について「報道は中国への誤った批判に満ち、メコン川流域の住民に資するために水資源を有効に利用しようとする中国、タイ及び関係国による共同の努力を無視するものである」と批判。

 その上で「中国は以下の事実を改めて確認したい」として①メコン川の環境保護は関係国の人々の生命の保護でもある、②関係国による環境アセスメントを実施して環境に与える被害を最小限にしようと努力している、③最近のメコン川の洪水や干ばつは地球的規模の気候変動によるものであり、中国のダム建設はこうした気候変動に対応するもので、乾季には水を流し、雨期には貯水することで水流を調整して下流域の経済的損失を軽減している、④中国は下流域各国に配慮し、緊密な意思疎通を保ちながら水力発電ダムのデータを共有しメコン川を友好の川、協力と繁栄の川とするため共に努力している、などと持論を展開した。

 これに対し同じバンコク・ポスト紙は7月17日紙面にタイの環境保護団体「チャンコン保護グループ」共同創設者でメコン流域8地方の関係者でつくる「タイ住民メコンネットワーク」のニワット・ロイゲオ氏の反論記事を掲載した。

「中国はメコン問題に真摯に向き合え」と見出しを打たれた記事の中でニワット氏は「中国大使館報道官が紙面で主張したような中国がメコン川の資源を活用して地域住民のために協力しているという趣旨には同意することができない」と反論。
「いかに美辞麗句を並べても中国が実際に行っていることはメコン川の環境を破壊し、損害を与えているだけである」「中国の上流のダムははっきり言って、下流住民の生活や自然環境になんの利益にもなっていない」とタイの立場から手厳しく中国側の主張に反論している。