ゴーヤーの苦味生合成経路、「金平糖解析」で解明へ

類まれなる“苦い作物”をめぐる歴史と科学(後篇)

2019.07.19(Fri)漆原 次郎

苦味成分の合成過程は、果実よりも葉で進んでいた!

ゴーヤーとその葉。最終的に苦味をもたらす成分は、葉から細い茎を経由して果実まで移動してきているようだ。

 ここで、研究グループはある発見をする。McCBSのmRNA発現レベルを、果実、葉、茎、根などの器官ごとに見てみると、果実よりも葉のほうで高かったのだ。苦味成分のククルビタシン類がつくられるまでのステップのほとんどは葉で進行し、最後の最後に果実の中で苦味成分となることが、その後の研究で分かってきた。

「びっくりしました」と久城氏は驚く。「光合成が葉でされるので、エネルギーに近いところで苦味成分がつくられていくと考えたらよいのか・・・」。

 鈴木氏も「おもしろい結果です」と言う。「ジャガイモのデンプンは葉でできてから糖に分解されて根に移りますが、ゴーヤーでは苦味をもたらす成分の移動が起きていることになります」。

 この発見により、「苦味をつくる成分を葉から果実に移動させる輸送体の正体は何か」という新たな謎が生じた。研究では、この解明も目指そうとしている。

「金平糖解析」で2万7127から一気に19の遺伝子に絞り込む

 苦味成分がつくられるまでの最初のステップはこうして解明された。だが、最終的にククルビタシン類にたどりつくまでには、さらにいくつもの化合物の構造変化のステップがある。その各ステップごとに、また別の酵素がはたらいているはずだ。

 それらの酵素の遺伝子を解明すべく、研究グループは“キラーツール”をより一層、駆使している。それは、鈴木氏らかずさDNA研究所が開発した「金平糖解析」という手法だ。大容量の遺伝子発現データから効率よく遺伝子群を抽出し、それらの関係性を可視化する。

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