この2つの要請に応えるものとして、神社の注連縄や祭祀の衣服などの伝統維持に欠かせず、また日用品・医薬品・嗜好品などの普及で国富をもたらす麻産業の壊滅ほどふさわしいものはなかったと思われる。
「いずれにしてもアメリカは政治的な理由で大麻撲滅を進めていて、・・・麻薬の使用を禁止する国際条約の成立に奔走していた。・・・日本を統治していたアメリカは当然のように日本にも大麻の禁止を強制的に言い渡しました。もちろん日本国内の事情などお構いなしです」というわけである。
ところが「アメリカが喧伝したような毒性がほとんどないことに世界中が気付いてきて、多くの国で規制緩和が進んでき」たという。
その結果、OECD(経済開発協力機構)30か国中で非栽培国はベルギー・デンマーク・ギリシャ・アイルランド・ルクセンブルグの5か国、栽培抑制国が日米の2か国だけで、英独仏をはじめとした23か国は栽培推進国である。
神社の注連縄や横綱の綱の材料などに、日本では許可されたわずかな農家が栽培を許されているだけである。
おわりに:米国から主権を取り戻す時
第1次安倍内閣は「戦後政治の総決算」を掲げていたが、米国の反発もひどかったと仄聞した。
そのこともあってか、第2次内閣以降は正面から「戦後政治の・・・」というお題目は掲げていない。しかし、沖縄などの基地の返還を以前のどの内閣よりも積極的に進めていることは事実だ。
また米軍が管理する横田空域の運用についても、日本側の利用が少しづつ拡大しているし、2020年のオリンピックを名目に横田基地の軍民共用を申し入れしている。しかし、安保条約や地位協定に係る事項でなかなか進捗しない。
他方、大麻取締法はGHQの指導下に制定されたとはいえ、安保関連ではない。しかも、麻は日本の伝統や生活文化に大いに関係している。
衣食住はいうに及ばず祭祀にも関係し、皇室や神社などにとってはなくてはならない大切な素材である。
言うなれば、「日本」という国家の成り立ちそのものに関わるものということもできる。しかも、科学的知見からは煙草や酒以上に無害で有益とも言われる。麻薬でも覚醒剤でもないので、別個に「大麻取締法」で規制している。
GHQによる戦後の不条理な縛り、すなわち東京裁判史観による洗脳を脱する第一歩としてはいかがであろうか。
日本人の手で第一歩を踏み出す勇気が自主性回復の明るい展望につながること請け合いである。