今回の東北地方太平洋沖地震と津波によって引き起こされた事象の中でも、東京電力福島第一原子力発電所の壊滅は、様々な意味で社会に大きな影響を与えるものとなっている。

 その事象の内容と、社会への影響について、今分かっている範囲で説明を試みようと思うのだが、まず、こうした核分裂炉とその周辺設備の事故、そして「放射線被曝」について、原発事故の発生直後からインターネットの上だけでも研究者や専門家による一般の人々に向けた事象の分析や解説が様々に展開されていることをお伝えしておきたい。

 ここで一度落ち着いて、以下に紹介するウェブサイトで語られていること、そしてそこからさらに展開してゆくリンクの先を覗いてみることをお勧めしたい。

ネット上で入手できる「正しい」情報

 まずは東京大学大学院理学系研究科教授の早野龍五さんが、3月13日からツイッター上で一般の方々とやりとりしていた「Q&A」をまとめたものが、「サイエンス・メディア・センター」のサイトに「原発に関するQ&Aまとめ」として掲載されている。これを読むだけでも、ものごとがずいぶんクリアになると思う。

 人体に対する放射線の影響と、今回のような放射性物質飛散事故への対応については、東京大学医学部付属病院放射線科の中川恵一准教授のチームが、これもツイッター上で交わされたQ&Aをまとめたものを「福島原発における放射線被ばくの解説」として公開している。

 さらに早野教授自身のツイッターには、彼のネットワークから様々な情報が集まってきている。

 例えば「放射能は自分の所にも拡がってきているか?」という不安については、東京電力他当事者が発表し続けているものだけでなく、文部科学省など他の機関が刻々と公表しているデータへのリンクを整理したものが、「放射線モニターデータのまとめページ」として公開されている。

 もちろん、東京電力や原子力安全・保安院のウェブサイトで刻々の計測値は公表されるのだが、基本的には数字の羅列なので傾向を読み取るのは難しい。そこで文部科学省のウェブサイトに行くと、トップページに「全国の放射線モニタリング状況」が表示され、そこから各県の放射能濃度が時間経過とともにどう推移しているかのグラフにリンクしている。上記「まとめページ」から「全国の放射能濃度一覧」へ飛んでも、各都道府県別に日々どう変化しているかのグラフを見ることができる。

 さらに福島第一原発の敷地内の放射線モニタリングデータについても、早野教授のツイッターに知人や教え子の方が整理したグラフがいくつか紹介されている。

 そしてもう少しだけ専門的な「基礎知識」が知りたいという方は、カリフォルニア大学のベン・モンリオール教授が急遽まとめた解説(プレゼンテーションスライド)を日本語訳したものが「福島原発の放射能を理解する」として公開されている。断片しか伝えない、伝わらないメガメディアのニュースや、風説に振り回されたくない向きには一読をお勧めしておく。