先日、トヨタ自動車の決算発表があり、「新車販売台数世界一」「史上最高益」といった言葉がメディアの記事の中を飛び交った。他の「自動車メーカー」(正確には「最終組立企業」)も、日産、マツダ、富士重工業に関しては決算の数字は良かった。しかしこの数字だけをもって、「ものづくり日本」の「幹」である自動車産業が「好況」であると判断するのは、いささか浅薄にすぎる。むしろ「今そこにある危機」から目を背けることになりかねない。今回はそこをもう少し掘り下げてみよう。
まず、トヨタ自動車だけでなく、そのグループ企業であるダイハツと日野自動車、そして部品メーカーの中でも資本関係も含めて長年トヨタと密接な関係にあり、主要部品をトヨタに直接納入する「ティア1」のデンソー、アイシン精機とアイシンAW(オートマチックトランスミッション)、ジェイテクト(ステアリングなど)の各社について、今期の決算から売り上げと利益に関する数字をピックアップして並べてみると・・・。
トヨタの売上高が圧倒的な「量」なのはいうまでもないが、一方でグループ企業というだけでなく、一部車種の製造(最終組立)を受託し、自社製品をOEM(相手先ブランド)供給しているダイハツ、そして日野の2社は売上、利益とも前年比マイナスの数字が並んでいる。どちらも国内市場への異存度がきわめて高いがゆえに、こうした商況になるのはやむをえないとは言えるが。