前回に引き続き、第43回東京モーターショー(東京ビッグサイト、11月22日~12月1日)のレビューをお届けする。
日本の自動車メーカーの中で、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどの「消極的」なショープランニング(前回の本コラムを参照)とは異なるアプローチを見出せた場所の1つが富士重工業、スバルのブースだった。
アメリカ市場で利益の多くを稼ぎ出しているのは、日本の自動車メーカーの多くに共通するものだが、富士重工業は製品企画の基本線をそのアメリカのニーズに沿うものとしてきたことで、主力車種の「レガシィ」がアメリカ(と中国)以外の市場では「大きすぎる」ものになっている。
この状況に対して日本で、同時に欧州やその他の国地域を走るのに「ちょうどいい大きさ」にシュリンク(収縮)した基幹モデルとして「レヴォーグ」という、振り返れば今日のスバルブランドの礎を築いた2代目レガシィの直系とも言える製品企画のモデル、それももはや市販車そのものを展示して、映画で言えば「予告編」とする一方で、「クロススポーツ・デザインコンセプト」と「VIZIV(ヴィジブ) EVOLUTION CONCEPT」という、想定される時間軸の異なるコンセプトカー2車を出展した。
さらに同期間にアメリカで開催されたロサンゼルス・オートショーには、アメリカ市場を主戦場とするレガシィの次期モデルを予告するコンセプトカー(こちらは現行レガシィのサイズを継承する)を出展、4ドアワゴン形態の「レヴォーグ」のセダンバージョンたる「WRX」の新車発表(市場投入)も行うという日米両面作戦を展開した。