7月1日、日本が関連規制を公表した当日、文在寅大統領は、かねてからの予定通り休暇を取っていた。6月30日から日本のメディアを通じて日本政府の規制措置が韓国に伝えられ、韓国経済界と関連省庁が事実関係の確認に右往左往していた。しかし、こんなあわただしい状況にもかかわらず、文在寅韓国大統領は「全く頓着せず」とでもいうように、平然と休息を取ったのである。
日本の輸出規制に言及せず、米朝両首脳を誉めそやす文大統領
韓国メディアによると、翌日の7月2日、大統領府で開かれた閣議でも、文大統領は日本の輸出規制と日韓関係については一切言及しなかった。文大統領は冒頭発言の全てを6月30日にあった「板門店米朝首脳会談」に割いた。「世界を感動させた米朝首脳間の板門店会合は、トランプ大統領のSNSによる破格の提案と、金正恩委員長の果敢な反応で成功した。その破格の提案と果敢な反応は、常識を超える驚くべき想像力の産物」とし、当時の興奮を改めて伝えてみせた。
『朝鮮日報』によると、この日の閣議は文大統領が会議場に登場すると、出席者全員が大きい拍手で迎えたという。
『毎日経済新聞』は、この閣議で日本の経済制裁について一切言及しなかった態度は、大統領府関係者の説明によれば、「戦略的沈黙」なのだと伝えた。
<大統領府の公式対応は一切ない。これは日本が今月21日に予定されている参議院選挙を控えて、政治的な目的があって実行しているとの分析を基にしたという。特に該当品目ごとに許可申請・審査に90日程度がかかるため、すぐには反撃戦略を公にしないほうが有利だとの判断をしたという>(毎日経済新聞:「安倍は前面に出て圧迫しているのに・・・文は閣議で言及しなかった」)
韓国の保守系メディアと経済紙は、文政権の「無対応」ないし「無対策」についてこう批判している。
<徴用工判決後、韓日関係の悪化を事実上放置してきた大統領府と外交通商部は「経済問題」という理由で対応を経済省庁に転嫁した。徴用工判決時は「司法府の決定なので政府は仕方がない」としたが、日本が事実上の「経済報復」に乗り出したら、「担当省庁が対応する」という論理を展開した>
<大統領府はそれまで、特定の事案で成果が出れば前に出て、責任や後処理問題が生じると、所管省庁に押し付ける態度を何度も見せてきた。大統領府は先月16日、リビアで拉致された韓国国民が315日ぶりに釈放された時、外交部が発表する慣例を破って直接ブリーフィングを開き、「文在寅大統領がアラブ首長国連邦(UAE)皇太子に折り入ってお願いした。UAEの支援が決定的だった」と述べた>(朝鮮日報:「韓日関係悪化を招いた大統領府、日本から報復措置が出ると沈黙」)
<日本の過ちとは別に、文在寅政権の対応には深刻な問題がある。実効性もない世界貿易機関(WTO)の提訴が最優先対策として取り上げられている。政府内でも「対策のない対策会議」との批判が出るほど手詰まりだ。日本は、昨年10月30日の徴用工賠償判決直後から適切な是正措置を要求し、報復措置も予告してきた。にもかかわらず、この8カ月間、ただ手をこまねいてきた。いざ報復措置が現実化するや、実行したのはたかだか駐韓日本大使の招致、産業通商資源部の対策会議だけだった。「日本が報復した場合、黙っているわけにはいかない」と語っていた康京和外相も、反日感情を煽ってきた大統領府も後ろへ回った>(文化日報:「社説 予告された日本の報復に手を出せない、文大統領が前に出て解決すべき」)