「史上初」が大好きなトランプ素人外交の限界
ドナルド・トランプ大統領が現職米大統領としては史上初めて南北朝鮮の軍事境界線(DMZ)を越えた。
当初は握手だけをする「面会」だったはずが第3回米朝首脳会談に発展、会談時間も50分間に及んだ。
しかし成果といえば、ハノイ会談以降、停滞していた非核化交渉の再開に合意したことだけだった。
それでもCNNをはじめ米テレビは深夜、「この瞬間」を実況中継で流した。米国民の大半は「白河夜船」の時間帯だった。
2つのことが分かった。
一つは、G20大阪サミットの後、トランプ氏が韓国に立ち寄った最大の目的は「この瞬間」のためだったこと。
トランプ氏にはギクシャクしている米韓同盟関係の修復など頭の片隅にもなかった。
トランプ氏は、大阪滞在中からツィッターで北朝鮮の金正恩委員長に「面会」の可能性を打診。
その裏で国務省のスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表(元フォード・モーター副社長)をヘリで極秘裏にDMZに送り込み、北朝鮮側に金委員長のDMZ入りを説得していた。
説得材料は3つ。