日本で2018年における訪日クルーズ船の寄港回数トップ3の港は、博多港(279回)、那覇港(243回)、長崎港(220回)である。東京港は、東京国際クルーズターミナルの整備によって、2028年までに年間280回のクルーズ客船利用回数の達成を目指している。

 だが、日本各地のクルーズ船寄港地から聞こえてくるのは、「喜びの声」よりもむしろ「悲鳴」である。果たして東京港にはどんな変化が起こるのだろうか。東京国際クルーズターミナルの開業がもたらす変化と課題をシミュレーションしてみた。

【その1】観光バス用の駐車場は確保できるのか?

 東京国際クルーズターミナルに最初に寄港するクルーズ船は来年7月14日に入港予定の大型クルーズ客船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」(16万8666トン)だ。乗客4246人と乗務員1551人の約5800人が乗船するという。

 クルーズ船を降りて東京を観光する旅行客は、たいてい観光バスを利用する。もしもスペクトラム・オブ・ザ・シーズの乗客4000人が船を降りて東京観光をするとなると、埠頭周辺には何十台もの大型バスを収容する駐車場を確保しなければならない。

 筆者が2017年に鹿児島のクルーズ船ターミナル「マリンポートかごしま」を訪れた際は、埠頭の広大な敷地に100台近くの観光バスが列をなして乗客の下船を待っていた。ところが、施工中の東京国際クルーズターミナルにはこうした駐車場がない。

 目下、確保できているのはバス8台、タクシー20台、乗用車25台の敷地内駐車場である。東京都は周辺で駐車場の整備を進めるというが、埠頭から駐車場まで距離がある場合、乗客はそこまでゾロゾロと歩くことになるのだろうか。仮にシャトルバスを出したとしても、埠頭と陸を結ぶ連絡通路は片側一車線と狭く、効率よく運行できるとは思えない。

完成予想図からすると、新ターミナルはだいぶ狭そうだ

【その2】埠頭周辺で大渋滞が発生する?

 次に予想できるのは、新ターミナルと陸地をつなぐ連絡通路や周辺道路の大渋滞だ。バスにタクシー、さらには貨物運搬トラックが加われば、埠頭周辺は大混乱してしまうのではないか。建設中の現場と完成予想図を見たとき、筆者は「こんなに連絡通路が狭くて大丈夫か?」と心配になってしまった。

ターミナルと陸地の間にかかる連絡通路。大型バス、タクシー、貨車、そして人がここを通過する