インフルエンザワクチンを、毎年接種する必要があるのはなぜなのか。

 医療の世界は“不思議”があふれている。医療従事者にとっては当たり前でも、一般の人には初耳の理解できないことばかり。そこで、水戸協同病院 医師、東北大学メディカル・メガバンク機構非常勤講師の光齋久人氏が、医療についての正しい知識を分かりやすく解説する。今回は「インフルエンザワクチン」を取り上げる。(JBpress)

 インフルエンザのワクチン、毎年打っていますか? 先頃、米国国立衛生研究所(NIH)が新型インフルエンザワクチン臨床試験に関する発表を行いました。近い将来、インフルエンザのワクチン接種は一度だけでよくなるかもしれません。

 実は私、親元を離れてからというもの、インフルエンザワクチンを長らく接種していませんでした。だって、おかしいと思いませんか? はしかとか、おたふくかぜとか、水ぼうそうとか。大抵のインフルエンザ以外のワクチンって、ちっちゃい頃に接種したっきりじゃないですか。

 もちろん、大学生の間ではしかが流行ったときは、もう一度麻疹ワクチンを打ちました。「物心つく前にワクチンでつけた免疫も、数十年経って切れかかってきている。ゆえに、もう一度ワクチンを打ってブーストするのだ」と説明されれば、確かにそんなこともあるかもしれないと理解できます。

 でも、インフルエンザはそれどころではありません。毎年冬が来る度に打たなければならないなんて! しかも、1回では発症確率は0にはならないときた。心配なら1シーズン中に何度か重ねて打てとのこと。なんと強欲な! 学食にすら手が出ずお茶漬けの素と白米で飢えをしのいでいた貧乏大学生には、ただの悪徳商法にしか思えませんでした。

 さて、では本当に毎年のインフルエンザワクチン接種勧告は、誰かの金儲けのための陰謀なのでしょうか? もちろん違います。