韓国人に愛される日本ファッションブランドは、阿部千登勢の「sacai」だけではない。パリを拠点とする世界的なデザイナー「イッセイミヤケ」は、韓国女性が最も愛するデザイナーであり、ファッションブランドである。 

「イッセイミヤケ」は、韓国ではサムスン電子の系列会社のサムスン物産が独占輸入、販売している。サムスン物産の関係者によると、2002年のローンチ以降、毎年100%近くの売上増加を記録している。また、イッセイミヤケは、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の母親である洪羅喜(ホン・ラヒ)夫人と李副会長の2人の妹が恋するブランドとして知られている。特に洪夫人はいろんな行事でイッセイミヤケの「プリーツプリーズ」を着て登場するため、プリーツプリーズは韓国では別名「ギャラリー館長ファッション」と呼ばれている。韓国の多くの財閥の奥様たちがギャラリーを運営しているために生まれた言葉で、要するに「財閥奥様の御用達ファッション」という意味だ。

「3秒に一度」見かける人気アイテム

 さらにイッセイミヤケが作った「BAO BAO(バオバオ)」のバッグは、「江南3秒バッグ」と呼ばれている。江南(カンナム)の街を歩いてみると、3秒に一度はバオバオバッグを手にした女性とすれ違うほど、富裕層が密集された江南で愛されているバッグという意味だ。

韓国で「江南3秒バッグ」と呼ばれる「BAO BAO ISSEY MIYAKE」のバッグ(BAO BAO ISSEY MIYAKEホームページより)

 韓国で人気を呼んでいる日本ブランドはハイファッションの分野だけではない。日本のファーストファッションブランドの「ユニクロ」は、韓国人の「国民服」というニックネームを持っている。2005年に韓国に進出したユニクロは、2018年には前年比で10.9%も成長し、1兆3732億ウォンという史上最高の売り上げを記録した。ユニクロは2015年以降、韓国のファッション市場において単一ブランドで史上初の4年連続1兆ウォン以上売上を記録している。「戦犯企業」「旭日旗を広告に使った」などの非難を浴び、不買運動の標的とされながらも、コスパの優れた高品質と低価格で韓国の消費者を満足させているのだ。

 他にも、日本料理や日本酒、日本食品、日本生活用品など、生活に密接した製品を中心に多くの日本文化や日本製品が韓国の消費者を魅了している。最近では、韓国の富裕層の間で日本の不動産投資がブームだというニュースも聞こえてくる。

 その一方で、韓国社会では日本製品が人気を呼んでいる現象を批判する声も少なくない。