なぜ、こんな危険を甘受しながら、徴用工像反対運動をしているのか、イ·ウヨン代表に聞いてみた。

「慰安婦問題も同じですが、いわゆる徴用工と呼ばれる『労務動員労働者』問題は、学問研究の領域ではいまだ合意した意見が得られていません。反日感情をあおるため、一つの『見解』が左傾化した歴史学界で『通説』として受け止められ、政治的に利用されているだけです。われわれはこの事実を韓国国民はもちろん、マスコミや教育界にも理解してもらうために努めているのです」

雨後のタケノコのように増える徴用工像

 文在寅(ムン·ジェイン)政権になって元徴用工に対する賠償問題が日韓間の新しい懸案となり、韓国社会では2015年の日韓慰安婦合意以後、慰安婦像が急増した時と全く同じように、徴用工像が雨後のタケノコのように増えつつある。すでにソウルをはじめ、韓国全域に6個が建てられており、今年8月15日には全羅南道と大田など、2カ所に新たに建てられる予定だ。

 中でも釜山日本領事館前の徴用工像の設置は「各国政府は外国公館の安寧と品位を維持する責任がある」という「ウィーン協約」に反する不法行為だ。だから、米国政府は数回も文在寅政権だけでなく、釜山市と釜山市議会に憂慮の立場を伝えたし、文在寅政権の李洛淵(イ・ナクヨン)総理をはじめ、4つの省庁の長官らも「許可できない」との立場を釜山市に改めて伝えた。

 にもかかわらず、民主労総とマスコミの「撤去は親日」という圧力に屈した呉巨敦(オ・ゴドン)釜山市長は「もうこんなこと(撤去)をしない」と約束し、不法造形物設置を黙認している。

 釜山領事館前の徴用工像よりも深刻なのは、韓国裁判所が下した元徴用工に対する日本企業の賠償判決に対する文在寅政権の態度だ。

 5月2日、康京和(カン・ギョンファ)韓国外交部長官は韓国記者たちとの会見で、日本企業の韓国内資産売却が推進される状況について、「韓国国民の権利行使が行われているものであり、政府が介入する事案ではない」「被害者の治癒が大事だ」と発言した。