驚くべきニュースというか、にわかに信じられない事案が発生していた。
沖縄県の宮古島に開設された陸上自衛隊(以下「陸自」などと記述)の宮古島駐屯地に配備された部隊が、必要な弾薬などを保有できないというのだ。
これでは、水や消化液なしの消防車であり、ガソリン切れの自動車と同じではないか。しかし、消防車や自動車では必要性を誰でも理解するため、また、あちこちに保有されているから、すぐにも補充されよう。
しかし、弾薬をはじめとした自衛隊の兵器・装備は市販されているわけではないので、簡単に補充することはできない。
また、準備できても住民や国民の理解がなければ持ち込めないので、「説得」に時間を要し、失敗もあり得る。
今明日の日本の防空戦力となる空自の最新鋭機「F-35A」が訓練中に消息を絶った。F‐35Aはライセンス生産が許されていない。
「部品を最終組み立てし、検査するだけ」で「搭載機器も国産はほとんどなく、防衛産業が得られるものはない」(織田邦男「F2後継機は日本主導の開発で」、『正論』平成30年12月号所収)という状況から、事故原因の究明も米国依存ということであろうか。
日米経済対話の一環で外貨減らしが求められているが、何千億円を投資して高価な兵器を購入しても技術の蓄積にならないようでは、防衛企業も撤退するに違いない。現に、有力な防衛企業であった小松製作所がその方向であると報じられた。
そもそも、重要な防衛用の兵器や装備品が国産でなく外国依存では、首根っこを押さえられているも同然で、国の安全を他国に依存していることになる。これでは安全ばかりか、自主独立さえ奪われ兼ねない危険性がある。
ここ数か月の新聞から
冒頭に挙げた記事は「南西防衛に大きな欠陥」「宮古島弾薬撤去 陸自、軽装備に困惑」という見出しを掲げた産経新聞の(平成31年4月8日付)1面記事である。
リード部分は「地元への説明不足が原因で、防衛省は駐屯地に保管されていた中距離多目的誘導ミサイルと迫撃砲の全弾薬を島外に撤去したばかり。・・・宮古島は空の発射機と軽装備での対処を強いられる隊員が残される異常事態に陥っている」となっている。
安全保障に対する感度が高く、こうした記事を1面で取り上げるのは主として産経新聞である。10日ばかり前の同紙(同3月27日付)は、「離島の電子戦訓練できず」「総務省不承認 携帯と混信恐れ」の見出し記事を載せた。
車載型の妨害装置で島に上陸する敵の情報通信やレーダーと同じ周波数の電波をぶつけて干渉・混乱させ無力化する訓練であるが、携帯電話の通信に使用する電波と混信する可能性があるとの理由から、総務省の承認が得られないというのである。