上司の「器」が試される

 管理職は、部下の分まで考えてしまうのではなく、部下の考えで満たすための「虚」を用意する必要がある。リーダーを「器」と呼ぶのは、それなりの理由がある。

 水を四角い形にしたいとき、あなたはどうするだろう? 「四角くなれ!」と命じるだろうか。殴ったり蹴ったり、握り締めたりして、四角くしようとするだろうか。そんなことをしても、水は形を変えず、飛び散るだけだろう。

 水を四角くしたければ、四角い容器を用意すればよい。水は自ら、四角い空虚を埋めようとして、四角くなる。

 部下の心も同様。上司が耳を傾け、意見の一つひとつに驚いて見せれば、部下から能動性が引き出される。問いを発し続けることで、部下がそれに答えようとする。答えようとするとき、ウンウンと考える。その答えに感心すれば、さらに感心させようと考え、意見を述べてくれる。

 上司のあなたは「虚」になるべき。リーダーを「器」と呼び、特に優れたリーダーを「大器」と呼ぶのは、部下の才能で満たされるよう、自らに「虚」を用意しているからだ。

 陽を欲するものは、自らを虚となせ。

 部下に主体的に動いてもらいたいなら、上司のあなたは、あえて聞き役に回ることだ。そうすれば、あなたという虚を満たそうとして、部下が活躍し始める。