(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
米国の2016年大統領選挙でトランプ陣営がロシア政府と共謀して得票を不正に操作したという「ロシア疑惑」は実際にはなかったことが、ロバート・モラー特別検察官の捜査によって示された。つまり、これまでの2年以上もの「ロシア疑惑」報道はフェイクニュースだったということになる。
この新展開によって、米国の国政の場での民主党とトランプ政権の攻守の構図は一気に逆転し、トランプ政権や共和党側はフェイクニュースを広めた犯人の糾弾を開始した。
トランプ大統領は就任当初からロシアとの“不正な関係”を疑われていた。司法長官が任命したモラー特別検察官による捜査が始まってからこの3月末で22カ月、実際にはその前の2016年夏ごろから連邦捜査局(FBI)による捜査が開始されていたから、実に2年半もの間、フェイクニュースが流されていたことになる。日本でも同様だったから他人事ではない。
「ロシア政府との共謀」は完全にシロと判定
モラー特別検察官事務所の捜査報告の骨子は3月24日、ウィリアム・バー司法長官により発表された。
モラー報告書には、捜査の最大対象だった「ロシア政府機関とトランプ陣営の共謀」という疑惑について、「2016年の米国大統領選挙にトランプ陣営のメンバーとロシア政府が共謀、あるいは協力して介入したことは裏づけられなかった」ことが明記された。「ロシア疑惑」についての捜査はこれで終了し、これ以上の起訴はないという。