(花園 祐:中国在住ジャーナリスト)
2019年4月1日、日本政府は5月の新天皇即位に伴う新たな元号として「令和」を採用することを発表しました。
今回の新元号はその発表前から、過去の傾向や使用文字の予想などが日本国内で大きな話題となっていました。その熱気は日本国内にとどまらず、漢字文化の発祥地であり、かつて同じく元号を使用していた筆者の住む中国にも波及していました。日本同様に発表前の予想議論が活発に行われ、これまでに使われてきた日中の元号解説記事も出されるなど、社会全体で強く関心が持たれていました。
新元号発表後、中国でも早速「令和」の由来や出典を巡って、ネットをはじめ各所で大きな話題となっています。中国での新元号に対する反応について、まとめてみました。
政府報道官は「日本の内政事案」とコメント
今回の新元号は「万葉集」が典拠とされ、中国の古典以外が出典となるのは初めてだと発表されています。もっともこの点については、万葉集自体がそれ以前の中国の古典「帰田賦(きでんのふ)」という詩集の影響を受けたものであるから、孫引きに当たるのではないかとの声も出ています。
最終的な出典元がどこに当たるのかは今回置いておくとして、出典元が中国の古典からではなかったという点は中国でも大きく注目されました。
4月1日の中国外交部(日本の外務省に相当)の記者会見では早速、この点について「中国政府としてはどう思うか?」という記者からの質問がありました。これに対して外交部の報道官は「日本の内政事案に属すため、特にコメントはしない」とかわし、その後、再び同じ質問を尋ねられると、「先に述べた通りにコメントはしない。ただ日中関係は現在、健全かつ安定的に発展している」と答えるにとどめました。