3月23日、沖ノ鳥島沖165キロメートル付近海域、すなわち日本の排他的経済水域(EEZ)内で海洋調査活動を実施している中国の海洋科学調査船を、海上保安庁航空機が発見した。国連海洋法条約(日本も中国も共に加盟国である)によると、EEZ内での海洋調査活動には、管轄国へ事前に通告して同意を得ることが必要とされている。
海洋調査を繰り返す中国
昨年(2018年)12月18日にも中国国家海洋局調査船が沖ノ鳥島周辺の日本EEZ内で日本側に無断で海洋調査を実施したため、日本政府は外交ルートを通じて中国側に抗議した。それに対して中国外交部は「沖ノ鳥島は国際海洋法条約による『島』としての要件を全く備えておらず、『沖ノ鳥島は日本領土である』という日本の主張は国際法上認められない」と反論した。
要するに中国側の解釈によると、国際法上は「岩」にしかすぎない沖ノ鳥島の周辺200海里は日本のEEZにはあたらず、日本が科学的調査に対する許認可権など保持していない、よっていかなる国の船舶も自由に海洋調査活動ができる海域である、というわけだ。
昨年12月に海洋調査を行ったのは国家海洋局の調査船、すなわち公船であったが、今回は厦門大学が船主である海洋科学総合調査船「嘉庚号」であった。2016年に進水した嘉庚号は、排水量およそ3500トン、航続距離1万海里で中国の深海・遠洋海洋科学調査のために設計された最先端レベルの海洋調査船である。流氷のない海域ならば世界中どこの海域でも航行していき海洋調査を実施できるという。