「RE:NISTA(リニスタ)」が手がけた、GION HANNA STAYのエントランスを飾るアートタイル。木組みの間を西陣織で彩っている。

 伝統と歴史をはぐくみ続ける町、京都。そこに根付く伝統産業の未来は、どうなるのだろうか。伝統産業に携わる若手2人に話を聞いている。前編では、京提灯の老舗「小嶋商店」の小嶋俊氏に話を聞いた。

【前編】「100年後に名を残したい」京提灯の新たな挑戦
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55784

 2人目は、西陣織を世界に広めるため「RE:NISTA(リニスタ)」というブランドを立ち上げたサカイタカヒロ氏だ。これまで着物の帯が需要の中心だった西陣織を、建物の内装や家具などへと活用の場を広げるべく取り組んでいる。

 サカイ氏は、西陣織の織元に生まれながら、大学卒業後は商社に就職。しかし、帰省の際に西陣織の魅力と業界の危機的状況に気づき、その道に人生を賭けることにした。

 サカイ氏が西陣織に見いだした可能性とは。そして、その見据える伝統産業の未来とは。

RE:NISTAのサカイタカヒロ氏。1988(昭和63)年、京都市生まれ。

35歳までは西陣織の可能性を追求することに尽力したい

 サカイ氏を西陣織の世界に引き戻した、その魅力とはどのようなものだろうか。

「見る角度によって色が変わる生地の感じなど、僕らでも『よくこんなに織れるな』と思います。たとえば、使っている色はたった2色なのに、グラデーションや立体感を出せる。また、金糸・銀糸を使って豪華に見せるというのも、西陣織の魅力ですね」