小嶋商店が手がける京提灯。

 世界中から観光客が集まってくる京都。その裏には古くから続いてきた伝統産業が根付いている。

 後継者不足や市場の縮小など先行きの不安がささやかれる中、伝統産業にはどのような未来が待っているのだろうか。歴史の変化を見守り続けた町、京都で伝統産業に携わる2人に話を聞いた。

 1人目は、江戸時代から続く京提灯の老舗「小嶋商店」の十代目職人、小嶋俊(こじま・しゅん)氏だ。小嶋氏は、祖父、父、弟と、一家一丸となって提灯作りに取り組んできた。現在は、伝統的な製法での提灯作りに取り組む傍ら、提灯の灯りをモダンなインテリアに取り入れることを提案している。小嶋氏が作る提灯は、パスザバトン京都祇園店やジェイアール京都伊勢丹の内装などにも導入された。

 伝統を守りながら先進を追い求める小嶋氏。その目が見つめる伝統産業に、明るい未来はあるのだろうか。

「小嶋商店」十代目職人の小嶋俊氏。1985(昭和60)年、京都市生まれ。

家族それぞれの得意分野で勝負

 提灯には、大きく分けて2つの製法がある。ひとつは「巻骨式」と呼ばれる、竹ひごをらせん状に巻いて作るもので、現在はこちらが主流になっている。もうひとつは「地張り提灯」で、細く割った竹を型に沿わせるようにわっか状にして、それをいくつも並行に組んで形を作っていく方式だ。だが、作るのに手間暇がかかるため、京都でも数社しかその製法は受け継がれていない。

 小嶋商店では、地張り提灯の製法を守り、受け継いでいる。その理由と魅力はどこにあるのか。

「紙と竹のくっつく面積が広いので、厚めの紙の方が合っていて、しっかりしています。僕らはそれがすごく好きで、この製法で作っています。あと、灯りが入ったときのぼわーっとした感じが好きですね」

 そんな小嶋氏が、京提灯の職人の道を選んだのは、代々続く提灯屋に生まれ、提灯作りが身近で自然な風景だったからだという。