米アマゾン・ドットコムが、新たな食品スーパーのチェーン展開を計画していると、先ごろ米ウォールストリート・ジャーナルが報じたが、その後の報道よると、同社はこのスーパーで、化粧品などのパーソナルケア製品も取り扱う計画だ。
“おいしい商材"、アマゾンも気づいた
メイクアップ、スキンケア、ヘアケアといったパーソナルケア製品は、スーパーマーケットの売り上げに占める比率が低い。しかし、食品などに比べ、高い利益が見込めるため、スーパーにとって重要な商材になっている。
アマゾンは、2016年半ばからプライベートブランド(PB)の展開を本格化させているが、最近は、パーソナルケア分野のPB商品を増やしている。ヘルスケアとパーソナルケア製品は、アマゾンのネット通販における消費財の中で、最大の収入源となっている。昨年(2018年)は、その売上高が50億ドル(約5600億円)に上った。
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今後、アマゾンが計画しているチェーン展開が進み、品ぞろえに、こうした商品が加えられれば、確実に大手スーパーの利益が損なわれることになると、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
競合にとって実に悪いタイミング
これまでの報道によると、アマゾンは、米国の複数の都市で新たな食品スーパーのチェーン展開を計画している。早ければ、年内(2019年)に1店舗目をロサンゼルスで開設する見通しだ。来年初頭には、少なくとも2都市でのオープンが計画されている。サンフランシスコ、シアトル、シカゴ、首都ワシントン、フィラデルフィアの店舗についても、現在、協議を行っているようだ。
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アマゾンの新たな出店計画は、スーパーマーケット業界にとって、実にタイミングが悪いという。この市場では、競争が激化しており、それに伴い、各社の利益が圧迫されているからだ。
大手スーパーマーケットチェーンのクローガー(Kroger)や、量販店のウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)は、アマゾンに対抗するため、自社のeコマース事業に力を入れており、即日配達の対象地域などを増やしている。