若者も上司も互いを理解するには「学び」が必要だ。

「最近の若者は・・・」という、いつの時代もある上司の嘆きに象徴されるような若者と上司世代*1の価値観の相違が、職場で深刻な問題を引き起こしている。そこで、その価値観の相違を乗り越え、両者がともに幸せに働くためのヒントを探るために、若者の育成に長年取り組むリクルートマネジメントソリューションズの桑原正義(くわはら・まさよし)氏に話を聞いた。

 前編では「若者責任論」から脱却し、「若者からも学ぶ」というスタンスが提示された。後編では、若者に学ぶ理由やその際のポイントについて深堀りしていきたい。

【前編】「『若者責任論』から脱却し、その価値観に学べ」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55589

*1:本稿では、若者とはミレニアル世代(1980年以降、2000年前後生まれ)を指しており、それ以上の世代を便宜的に「上司世代」と呼んでいる。

弱いと思っていた若者のほうが、実は強かった?

――かつては桑原さんご自身も若者の価値観に対して違和感を持っていたというお話でした。

桑原正義(くわはら・まさよし)氏。リクルートマネジメントソリューションズ 事業開発部 主任研究員。1992年人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社。2005年から「新人・若手が育つ組織づくり」に関するコンサルティングやトレーニングに携わる。2017年、中竹竜二氏(日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター)と共同で「オトマナ(大人はなぜ若者に学べないのか)プロジェクト」を発足。

桑原正義氏(以下敬称略) はい。若者が持つ、ある部分の価値観や行動に対しては、違和感や驚きを感じることがありました。

 たとえば驚いたのは、情報共有の考え方。組織がベースという価値観で行動する私たち世代にとって、同業他社と情報共有や意見交換を積極的にする考えはありません。競争相手ですから、むしろ情報は隠すのがアタリマエの感覚です。

 しかし、今の若者は就職活動のときから、情報をシェアしていて、就職後もその仲間で集まって勉強会などを開いていたりします。彼らにとって同業他社は競争相手というだけでなく、同じ目的を目指す仲間でもあるという感覚に驚き、ある意味、視点が高いと感じさせられました。