通信機能(BluetoothやWi-Fiなど)を持ち、スマートフォンのアプリで施錠解錠ができるスマートロックの中でも、『Ninjalock』を提供するライナフは、「サービスが入ってくる家」を目指す。スマートロックを利用することで――ホテルのように――部屋にいなくとも清掃サービスを受けることができたり、クリーニングや洋服のレンタル、食材の買い物など生活に密着したサービスを提供する。
こうしたサービスがもたらすメリットは住人の利便性向上だけではない。オーナーにとっても従来の家賃収入に頼った不動産経営から、これらのサービス収入も加えた不動産経営が可能となるのだ。
同様にソフト・サービスの価値に訴えることで、急激に女性会員を増やし、契約につなげているのが賃貸住宅の仲介会社エイブルである。
エイブルは、賃貸で暮らす独身女性の生活を応援するため、お得な割引クーポンやオンデマンドサービスを利用できる女性向け会員クラブ『Maison Able Club(メゾン エイブル クラブ)』を展開。
例えば、ヨガスタジオやスポーツクラブ、オンデマンド倉庫の『minikura(ミニクラ)』や洋服レンタルサービスの『airCloset(エアークローゼット)』などが無料または割引で利用できる。若い独身女性が都内で暮らす部屋は、手狭なワンルームタイプが多く、クローゼットなどの収納スペースも小さいことが多いため『minikura』や『airCloset』を利用できるのはありがたいサービスだろう。
それだけではなく、昨年末には会員限定の男女の出会いイベント『ロンロン恋活』を開催。部屋を借りる際に把握できる年齢・仕事・年収などの属性情報を活かすことで安心して相手と出会うことが出来るのだろう。女性の応募総数は1000名を超えた。
『Maison Able Club』は開始2年間で約3.5万人以上の会員に到達。独り暮らしの女性に「ソフト・サービス」のバリューシフトに成功している例と言えるだろう。
管理会社向けに入居者管理システム『パレット管理』を提供する有望ベンチャーのパレットクラウドが目指す世界観もバリューシフトの先を見ている。
パレット管理は、各種手続きやお知らせの配信、マニュアルの共有、アンケート配信など賃貸物件の管理業務で生じる住人とのコミュニケーションをスマホアプリで提供する。
紙の書面や担当者の記憶で管理していたデータをIDで紐付けることにより、住人のデータを一元管理。これにより、住人ごとの物件データ・入居者データ・生活ログデータを活用することで、住人に最適な住生活サービスを提供するプラットフォームを展開すること目指している(図表)。